研究課題
2019年度において、腸上皮細胞株Caco-2をカルチャーインサート上で単層化させた後、頂端膜側を嫌気性環境としつつ基底膜側を好気条件とする培養装置(アピカル嫌気培養装置)の開発に成功した。すなわち、頂端膜側は溶存酸素濃度が0.5%以下、かつ基底膜側の溶存酸素濃度が60%以上の状態を7日間維持することに成功した。種々の嫌気性腸内細菌をアピカル側培地に添加して培養したところ、Caco-2細胞が無い場合に比べて大幅な生育促進がみられたが、同時に著量の有機酸産生によるpH低下により、Caco-2細胞の障害が見られた。そこで、アピカル側培地を流動化させることとし、マイクロペリスタリック装置を接続して1分間に50~200 uLの培地を流動化させられるようにした。このプラグフロー型アピカル嫌気培養装置においても、経上皮電気抵抗値は5日間程度まで保たれており、また免疫染色による解析の結果においてもタイトジャンクション形成が保たれていた。次に、アピカル側培地に嫌気性細菌であるBifidobacterium longumを添加して培養し、排液を回収してそのコロニー形成能を調べたところ、10^7~10~8程度で少なくとも3日間菌が増殖し続けること、またその間、Caco-2細胞が大きな障害を受けていないことが明らかとなった。なお、本装置を通常のCO2インキュベーター内において同様の実験を行ったところ、Bifidobacterium longumを添加した場合の排液のコロニー形成能は10^4程度であった。以上のことから、プラグイン型アピカル培養装置においては、細菌の増殖を制御しながら、腸上皮細胞と嫌気性細菌が共培養可能であることが明らかとなった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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