研究課題/領域番号 |
18H02133
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森 春英 北海道大学, 農学研究院, 教授 (80241363)
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研究分担者 |
佐分利 亘 北海道大学, 農学研究院, 講師 (00598089)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オリゴ糖合成 / 糖質関連酵素 |
研究実績の概要 |
糖質は構成糖と結合様式により顕著な多様性を示す.食品機能性素材やバイオ素材等,素材の潜在的宝箱であり,機能発見と応用利用に向けて,多様性に対応可能な効率的合成手法の確立が必須である.本申請研究は,合成酵素と転移酵素利用を利用した糖質多様化に向けた合成手法の確立を目的としている. 合成酵素利用による糖質合成に関しては,ショ糖からの糖ヌクレオチド合成酵素の高機能化に向けた変異酵素等の解析,および安定的な利用条件について検討を行った.糖供与体基質としてショ糖に依存しない糖ヌクレオチド合成酵素について,利用条件の検討を進めた.本酵素単独での反応による新規オリゴ糖数種の合成も行い,構造決定により新規化合物であることを確認した.反応条件検討により収率向上を図った. 糖転移酵素関連では,TS酵素(N末端側を伸長型酵素)は伸長部分を含めて主要3ドメインにより構成され,各ドメイン単独のタンパク質,ならびに各ドメイン欠失タンパク質を調製・機能解析を行い,各ドメインが有する機能を実験的に明らかにした.マルトオリゴ糖からイソマルトオリゴ糖形成に至る逐次的反応を明らかにした. 糖質の合成に関して,植物において代謝制御物質として機能するトレハロース6-リン酸を,酵素により合成する反応系を確立した.本反応では,マルトオリゴ糖を唯一の炭素源として,3酵素を含むワンポット反応により目的の糖リン酸を合成するものであり,簡便かつ有効な合成系である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合成酵素,転移酵素ともに,ほぼ計画通りに実行されて成果が出ている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実施内容は,以下の4点とする. 1.合成酵素関連:ショ糖などの糖質を出発材料とした糖質ヌクレオチドを経由した糖質合成の高効率化を進める.特に本手法によりすでに得られている新規糖質について,改変酵素の利用も含めて効率の高い合成反応系を確立する. 2.転移酵素関連:これまでに解析してきた関連酵素の情報に基づき,鎖長,結合の位置選択性,転移・水解等に関わる構造因子ホットスポットについて詰める. 3.転移酵素(TS酵素):ドメイン単位の機能構造研究成果について論文にまとめるとともに,反応系の単糖・二糖を制御によるオリゴ糖や多糖の効率的合成系を作出する. 4.高重合度化反応:縮合反応と転移反応の組み合わせによる生成オリゴ糖について解析を進める.
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