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2020 年度 実績報告書

植物時計のrobustな振動特性を支えるクロマチン構造制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H02137
研究機関名古屋大学

研究代表者

山篠 貴史  名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00314005)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード概日時計 / 擬似レスポンスレギュレーター / シロイヌナズナ
研究実績の概要

微生物、植物の環境応答を支えるHis-Aspリン酸リレー情報伝達系を構成するレスポンスレギュレーター(RR)は、N末端に存在するレシーバー ドメイン(RD)がリン酸化修飾を受けることでC末端に存在するエフェクタードメイン(ED)の活性が調節される制御因子として機能している。植物時計因子の一つである疑似レスポンスレギュレーター(PRR)もまた、N末端にレシーバー様のドメインを保持する転写制御因子であり、PRR9, PRR7, PRR5はともにCCA1およびLHYと名付けられた明け方に誘導される時計遺伝子の転写を抑制する働きを持つことが知られている。PRRファミリーに保存されているレシーバー様ドメイン(RLD)はリン酸転移を受けるAsp残基がGlu残基に置換されているためリン酸化修飾を受けるこ とができず、本来のRDとしての機能を失っていると考えられる。前年度までの研究により、PRR7のRLDはターゲットプロモーター上流へのDNA結合能には影響を与えないが、ターゲットプロモーター近傍のヒストン脱アセチル化に関与していることが分かった。さらに、RLDはPRR7におけ る唯一の二量体形成ドメインとして機能していることが明らかになった。そこで、RDとRLDとの構造比較からRLDに特徴的なアミノ酸に部位特異的変異を同定し、改変型PRR7の機能をprr9 prr7 prr5変異体植物に導入することにより、RLDの構造と機能に関する知見を得た。その結果、二量体形成活性を失ったRLDはprr変異を相補することができないこと、RLDに導入したアミノ酸置換変異は概日リズムの振動特性に多様な影響を与えることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RLDの役割に関してその構造と機能との関係を解析することにより、RLDが時計因子PRRの構成ドメインの一つとして転写抑制活性の強度を調節していることあが明確になってきた。また、RLDがPRRの半減期に影響を与えることがわかってきた。本研究をPRR分子が振動体として一定期間機能する仕組みの理解へと発展させることができるのではないかと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究の過程で、RLDはPRR7のヒストン脱アセチル化活性に必要であるとともに、タンパク質の半減期の調節においても重要な役割を担っていることが推定された。PRR7の分解にはポリubiquitin化を介した26Sプロテアソーム系が関与していることがMG132阻害剤を用いた解析から示唆されたので、RLD 内に存在するリジン残基を他のアミノ酸残基に置換することにより、ユビキチン化の標的部位を同定するとともに、半減期の異なるPRR7が概日時計の性質に如何なる影響を与えるかを解析する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A hierarchical transcriptional network activates specific CDK inhibitors that regulate G2 to control cell size and number in Arabidopsis2022

    • 著者名/発表者名
      Nomoto Y, Takatsuka H, Yamada K, Suzuki T, Suzuki T, Huang Y, Latrasse D, An J, Gombos M, Breuer C, Ishida T, Maeo K, Imamura M, Yamashino T, Sugimoto K, Magyar Z, Bögre L, Raynaud C, Benhamed M, Ito M.
    • 雑誌名

      Nat. Commun.

      巻: 13 ページ: 1660

    • DOI

      10.1038/s41467-022-29316-2

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Red light-regulated interaction of Per-Arnt-Sim histidine kinases with partner histidine-containing phosphotransfer proteins in Physcomitrium patens2021

    • 著者名/発表者名
      Anami S, Yamashino T, Suzuki R, Nakai K, Sato K, Wu B, Ryo M, Sugita M, Aoki S.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 26 ページ: 698-713

    • DOI

      10.1111/gtc.12878

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シロイヌナズナの概日時計中心振動体PRR7 のレシーバー様ドメインの機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      寺前智瑛,市古幹洋,山篠貴史
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] サイトカイニン誘導性の bHLH 転写因子ファミリーによる高等植物シロイヌナズナの二次成長への関与についての研究2022

    • 著者名/発表者名
      櫻井芳幸,島田由里菜,上坂一馬,山篠貴史
    • 学会等名
      第63回日本植物生理学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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