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2018 年度 実績報告書

II型ポリケタイド合成酵素のもつ生合成マシナリーの解明

研究課題

研究課題/領域番号 18H02144
研究機関東京大学

研究代表者

勝山 陽平  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50646437)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードポリケタイド合成酵素 / ポリエン / 芳香族化合物
研究実績の概要

Ishigamide生合成の鍵酵素であるIga11/Iga12のX線結晶構造解析に取り組んだ。その結果、Iga11/Iga12の構造を再高分解能1.75 Åで解くことに成功した。この結果、Iga11/Iga12は確かにヘテロダイマーを形成していることがわかった。また、Iga11/Iga12の持つ特徴的な活性中心構造が明らかとなり、Iga11/Iga12がポリエンの合成を行うか理解する大きな手がかりが得られた。ついで、Iga11/Iga12にhexanoyl-CoAをソーキングし、共結晶の構造解析を試みた。その結果、hexanoyl基が活性中心のCysに結合したIga11/Iga12の構造を再高分解能1.81 Åで解くことに成功した。この構造の活性中心の構造はapo型のIga11/Iga12の構造とほとんど変化していなかった。また、hexanoyl基の半分はディスオーダーしており観察することができなかった。ついで、Iga11/Iga12とIga10の複合体の構造解析を試みた結果、複合体の構造を再高分解能1.98 Åで解くことに成功した。この結果、Iga10とIga11/Iga12間の相互作用に重要なアミノ酸残基が明らかとなった。
次にyoropyrazoneの生合成経路の解析を試みた。CRISPR/cas9を用いてyoropyrazoneの生合成遺伝子の破壊を行い、23遺伝子の破壊に成功した。その結果、11の遺伝子においてyoropyrazoneの生産が消失した。さらに、8つ破壊株で副産物または中間体と思われる化合物の蓄積がみられた。これにより、生合成経路の最終段階が予測された。しかし、特徴的な構造である、hydrazideを含む6員環やスピロ環の生合成に関わる遺伝子の同定には至っていない。今後も破壊株の作製を継続する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度ではIga11/Iga12の構造解析において飛躍的な進展が見られた。Iga11/Iga12の構造解析やIga11/Iga12とIga10の複合体の構造解析は当初より難航すると予想されたが、予想に反し、極めて順調に実験が推移し、当初期待していた構造を初年度に全て解析することに成功した。また、yoropyorazone生合成遺伝子の破壊株の作製も順調に進行している。今後破壊株の作製を継続することで、生合成に重要な遺伝子群が明らかになることが期待される。

今後の研究の推進方策

Iga11/Iga12とIga10に関しては部位特異的な変異導入を行い、酵素活性に重要なアミノ酸を全て明らかにする。また、タンパク質タンパク質間の相互作用に重要なアミノ酸を明らかにすることを目標とする。また、Iga11/Iga12に関しては他のポリケタイド合成酵素システムと脂肪酸合成酵素群との相互作用に興味が保たれる。特に基質運搬の役割を担うアシルキャリアータンパク質 (ACP, IgaシステムではIga10) と触媒酵素群の相互作用の理解が重要である。そのため、他のポリケタイド合成酵素システムと脂肪酸合成酵素群由来のACPを調製し、Iga11/Iga12がこれらのタンパク質を利用可能か検証する。また、これらのタンパク質間の相互作用を理解するために、ビアコアを用いた解析を試みる。
Yoropyrazoneに関しては生合成遺伝子の破壊を継続する。本年度中に合計30遺伝子以上の破壊株の取得を目標とする。また、破壊株に蓄積している、未知化合物を単離し、NMRを用いて構造解析を行う。また、これらの化合物が中間体であるか、それとも副産物であるか確認するためにこれらの化合物の破壊株への投与による相補実験を試みる。
JBIR-85の研究に関しては異種発現とそれを利用した遺伝子破壊により生合成経路の解析を継続して試みる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] UCSD(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      UCSD
  • [雑誌論文] Involvement of β‐Alkylation Machinery and Two Sets of Ketosynthase‐Chain‐Length Factors in the Biosynthesis of Fogacin Polyketides in Actinoplanes missouriensis2019

    • 著者名/発表者名
      Sato Kei、Katsuyama Yohei、Yokota Kousuke、Awakawa Takayoshi、Tezuka Takeaki、Ohnishi Yasuo
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 20 ページ: 1039~1050

    • DOI

      10.1002/cbic.201800640

    • 査読あり
  • [学会発表] 高還元型II型PKS由来KS-CLFヘテロダイマー及びACP-KS-CLF三者複合体のX線結晶構造解析2019

    • 著者名/発表者名
      杜 丹ヤオ、勝山 陽平、伏信 進矢、Chen Aochiu、Davis Tony D、Burkart Michael、大西 康夫
    • 学会等名
      日本農芸化学会2019年度 東京大会
  • [学会発表] Streptomyces sp. IFM11307 由来芳香族ポリケタイド yoropyrazone 生合成に関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      藤田 夏澄, 勝山 陽平, 當銘 一文, 石橋 正己, 大西 康夫
    • 学会等名
      第33回 (2018年度) 日本放線菌学会大会
  • [学会発表] Reconstitution of a Type II Polyketide Synthase Catalyzing Polyene Formation2018

    • 著者名/発表者名
      Danyao Du, Yohei Katsuyama, Kazuo Shin-ya, Yasuo Ohnishi
    • 学会等名
      3rd European Conference on Natural Products
    • 国際学会
  • [学会発表] 放線菌の持つ多様な二次代謝産物の生合成機構2018

    • 著者名/発表者名
      勝山 陽平
    • 学会等名
      第五回天然物化学研究会 東京農業大学世田谷キャンパス
    • 招待講演
  • [学会発表] 放線菌のもつ多様な二次代謝産物生合成機構の解析2018

    • 著者名/発表者名
      勝山 陽平
    • 学会等名
      第3回関東支部例会 東京大学農学部弥生講堂一条ホール日本農芸化学会奨励賞受賞講演
    • 招待講演
  • [備考] 醗酵学研究室

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/hakko/index.php

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公開日: 2019-12-27  

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