研究課題
1)これまで、大豆サポニンの化学構造は単離精製物の機器分析(HR-MS、IR、NMR分析等)データがそろわないと決定できないと言われてきた。しかし、未確認であった大豆サポニン生合成遺伝子や遺伝子産物酵素の特性(基質特異性など)の全容が明らかとなってきたことにより、大豆種子主要サポニン組成の遺伝的多様性は、サポニン生合成に関わる遺伝子の共優性、優性、劣性遺伝子の組み合わせで説明できること、また、いくつかのサポニンの存否が分かれば、サポニン生合成遺伝子の組み合わせが決定できることを明らかにした。その結果、これまで推定構造とされてきた基本的な大豆種子主要サポニン(36種類)については、大豆種子アルコール抽出液のLC-PDA/MS/MS分析データだけで化学構造が決定できると推定された。2)最近発見されたSg-6サポニン類(既知サポニンとは異なる3種類のアグリコンが存在)について、プロファイル解析(LC-PDA/MS/MSデータと遺伝情報による総合的判断)結果から推定化学構造を発表した。それらアグリコンの化学構造は、単離精製して機器分析で導かれた化学構造と完全に一致した。この結果は、プロファイ解析の手法は未確認大豆サポニンの化学構造推定に非常に有効な手段となることを強く示唆している。3)EMS処理で作出されたサポニン組成変異大豆系統から発見された未確認及び新規サポニンの化学構造をプロファイル解析で推定することにより、変異遺伝子の機能推定が可能となった。今後の追加データが待たれる。4)新規化学構造を有する大豆サポニンのLCーPDA/MS/MSプロファイルデータベースが蓄積されたため、各種大豆加工食品で観察される未確認サポニンについても、それらの化学構造推定が可能となった。今後、加工処理条件の違いによる原料大豆中のサポニンの化学構造変化、味や健康機能性の変化等を追う見通しが得られた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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LWT-Food Science and Technology
巻: 146 ページ: 111337 (15ページ)
10.1016/j.lwt.2021.111337
アグリバイオ
巻: 4(12) ページ: 23-27