味覚は食物の価値の判断基準として重要な役割を担う。近年、末梢(舌)の味覚受容の理解は深まったものの、中枢の味覚伝達機構は未だ不明な点が多いままである。また、味の感じ方は一定ではなく空腹時に変化するが、その原因はわかっていなかった。そこで、本研究ではヒトと同じく味を識別できるマウスをモデルとして、脳内で味覚の伝達・調節を担う神経メカニズムを研究した。その結果、甘味とその美味しさを選択的に伝える神経細胞を発見した。また、視床下部摂食促進神経を起点として、空腹時に味覚を調節する神経ネットワークを見出した。これらの成果は美味しさの神経基盤の解明に大きく貢献することが期待される。
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