研究課題/領域番号 |
18H02163
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
姫野 俵太 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80208785)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | リボソーム / リボソーム成熟 / リボソーム生合成 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまでに応募者が明らかにしてきた「RsgAとRbfAの関係」を足がかりとして、細菌のリボソーム30Sサブユニット生合成(成熟)過程後期に必要とされる4種類の成熟因子(RsgA、RbfA、RimM、Era)に焦点を当て、遺伝学、生化学的アプローチを用いて各因子の30Sサブユニット成熟に対する役割を解析していく。同時に、生合成中間体の構造解析を行うことによりその分子メカニズムを詳しく解析し、リボソームの生合成後期過程の全容解明につなげる。また、各成熟因子を欠損させた細胞に蓄積している30Sサブユニット生合成中間体から成熟した30Sサブユニットをin vitroで構築する系を確立し、新規抗生物質開発に向けての基礎とする。 ・EraのGTP加水分解活性がリボソーム30Sサブユニットによって活性化されるという新たな知見が得られた。成熟した30SサブユニットによってはGTP加水分解活性の活性化は起こらなかったが、未成熟の30Sサブユニット前駆体によって大きく活性化された。これは、以前、我々が明らかにしたRsgAのGTP加水分解活性の活性化の場合、すなわち「RsgAのGTP加水分解活性は成熟した30Sサブユニットによって活性化されるが、未成熟の30Sサブユニット前駆体によっては活性化されない」ことと逆であった。この実験結果は、RsgAが30Sサブユニットの成熟過程の最終段階で働くのに対して、Eraはそれよりも早い段階で働くことを示している。 ・バイオレイヤー干渉法等により30Sサブユニット生合成中間体と各種成熟因子の相互作用解析を行うために、分子間相互作用解析システムBLItzを導入した。また、蛍光標識可能なRsgAおよびEra作製した。 ・RbfA欠損株の表現型(生育速度の低下および16S rRNA前駆体の蓄積)の復帰突然変異株(revertant)を取得した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・リボソーム30Sサブユニット前駆体によりEraのGTPase活性が活性化されることを明らかにした。予定通りであった。 ・予定通り、分子間相互作用解析システムBLItzを導入した。 ・予定通り、RbfA欠損株の復帰突然変異株(revertant)を取得した。
|
今後の研究の推進方策 |
・GTPase型成熟因子(RsgAおよびEra)のGTP加水分解の活性化の解析および阻害因子の探索---RsgAおよびEraについて、30Sサブユニット(前駆体)よるGTP加水分解の活性化を指標にして速度論的解析を行う。成熟度の異なる30S前駆体を用いて実験を行い、結果を比較する。同時に、GTP加水分解の阻害因子を探索する。これにより、RsgAおよびEraが働くステップを明らかにする。 ・30Sサブユニット生合成中間体と各種成熟因子の相互作用解析---バイオレイヤー干渉法およびフィルター結合法により、各成熟段階にある30Sサブユニット前駆体と各成熟因子の結合(解離定数)を解析する。 ・各種成熟因子欠損株の復帰突然変異株の解析---RbfA欠損株あるいはRimM欠損株の表現型(生育速度の低下および16S rRNA前駆体の蓄積)の復帰突然変異株(revertant)の解析を行う。
|