研究課題
本研究では、これまでに応募者が明らかにしてきた「RsgAとRbfAの関係」を足がかりとして、細菌のリボソーム30Sサブユニット生合成(成熟)過程後期に必要とされる4種類の成熟因子(RsgA、RbfA、RimM、Era)に焦点を当て、遺伝学、生化学的アプローチを用いて各因子の30Sサブユニット成熟に対する役割を解析していく。同時に、生合成中間体の構造解析を行うことによりその分子メカニズムを詳しく解析し、リボソームの生合成後期過程の全容解明につなげる。また、各成熟因子を欠損させた細胞に蓄積している30Sサブユニット生合成中間体から成熟した30Sサブユニットをin vitroで構築する系を確立し、新規抗生物質開発に向けての基礎とする。本年度は、「EraのGTP加水分解活性が未成熟のリボソーム30Sサブユニットによって活性化される」という前年度までに得られた知見に着目し、前年度作成したYbeY(17S RNAから16S rRNAへのプロセッシング酵素の候補遺伝子の一つ)の欠損株から調製した30Sサブユニット生合成中間体がEraのGTP加水分解活性に与える影響を調べた。その結果、YbeYの欠損株から調製した30Sサブユニット生合成中間体は、他の成熟因子(RsgA、RbfA、RimM)の欠損株から調製した30Sサブユニット生合成中間体とは異なり、EraのGTP加水分解活性を活性化しなかった。この結果は、YbeYの欠損株から調製した30Sサブユニット生合成中間体が特殊な30Sサブユニット生合成中間体であり、30Sサブユニット成熟過程を知る上での鍵となることを示唆するものである。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Biochemistry
巻: 17 ページ: 459-465
10.1093/jb/mvac007