動物では、脂質ラフトの異常と疾患との関係性が早くより示され、国内外で盛んに研究が進められてきたのに対し、植物の脂質ラフトに関する知見は乏しい。動物のラフトは主にスフィンゴミエリンとコレステロール等の脂質成分から構成される。しかし、植物にはこれらの脂質成分がほとんど存在せず、その構造や機能は不明であった。本研究では、モデル植物であるシロイヌナズナを用い、植物の脂質ラフトを構成するスフィンゴ脂質の合成系と、その機能の一端を明らかにした。また、本研究により、脂質ラフトの機能が植物の低温応答に必要であることが示さた。これらの結果は、今後、低温耐性を有する作物の分子育種の基盤となる知見である。
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