研究課題/領域番号 |
18H02169
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
稲葉 丈人 宮崎大学, 農学部, 准教授 (00400185)
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研究分担者 |
森 泉 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40379805)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 葉緑体 / 光合成 / アクアポリン / GLK / 重炭酸イオン輸送体 |
研究実績の概要 |
2020年度は、シアノバクテリアの重炭酸イオン輸送体SbtAおよびBicAのキメラ型タンパク質を発現するシロイヌナズナをスクリーニングした。前年度作出した4パターンのBicA/SbtA共発現株の中から、遺伝子を1コピーのみ持つ株と高発現株をスクリーニングした。また、一部の植物については葉緑体を単離し、さらにこれを分画し、キメラ型タンパク質の葉緑体内局在を調査した。その結果、双方のタンパク質ともに葉緑体包膜に局在することが明らかになった。 さらに、作出した形質転換植物の低CO2環境における光合成能を調査するため、低CO2チャンバーを作製した。低CO2用およびコントロール用の二台のチャンバーを作製し、実際に低CO2環境を作ることができるか調査した。当初は安定した低CO2環境を実現できなかったが、CO2吸収装置の形状を工夫するなどして改良を加えた結果、安定して低CO2環境を実現できるチャンバーを作ることができた。 また、これらのタンパク質が効率的に葉緑体に輸送されるメカニズムについても研究を行った。具体的には、葉緑体へのタンパク質輸送が光により調節される仕組みを調べた。その結果、タンパク質透過装置複合体の構成因子が青色光により誘導されることが明らかになった。また、青色光受容体クリプトクロム1を欠損した変異体では光誘導が損なわれたことから、この制御にはクリプトクロム1が関与していることが明らかになった。この成果は、学術論文としてScientific Reports誌に報告した。 気孔開口調節因子GLK1については、昨年度iTRAQ法により同定したタンパク質について、実際にGLK1と相互作用するか調査した。具体的には酵母ツーハイブリッド法を用いてGLK1との物理的相互作用を調べた。その結果、いくつかのタンパク質は酵母においてGLK1と相互作用しうることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は、成果の一部をScientific Reports誌に報告することができた。これ以外にも複数の論文を投稿およびリバイス中である。コロナウイルスが蔓延する状況の中、研究を推進するには困難な状況であったが、総合的に見ると予想以上に進展したと思う。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も当初計画に従って研究を進める。特に、形質転換体におけるBicA/SbtAの局在解析、低CO2環境における分子レベルでの応答などを中心に進める。次年度は最終年度であるので、成果を論文等の見える形で出したい。
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