研究課題/領域番号 |
18H02170
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
鐘巻 将人 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 教授 (20444507)
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研究分担者 |
林 謙一郎 岡山理科大学, 理学部, 教授 (30289136)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発現制御 / タンパク質分解 / デグロン |
研究実績の概要 |
オーキシンデグロン(AID)技術は、植物由来のユビキチンリガーゼOsTIR1を異種細胞に導入することにより、植物AUX/IAA由来デグロンを付加したタンパク質を、オーキシン添加により分解除去することを可能にした。現在のAID技術の問題は、デグロン付加したタンパク質がオーキシン非添加時にも弱い分解を受けること、および使用するオーキシンの濃度が比較的高い(100-500 uM)ことであった。去年度においてオーキシン非添加時における分解抑制のためにOsTIR1阻害剤auxinoleを開発した。本研究成果は、今年度論文公表をおこなった(Yesbolatova et al. Methods, 2019)。
今年度は上記問題を克服するために、AID技術を改良しAID2を作成することに成功した。AID2においては、変異型OsTIR11と新たなリガンド5-Ph-IAAを利用する。利点としては下記があげられる。 1. オーキシン非依存的分解の大幅な抑制 2. より早い分解速度 3. 従来に比べ1/670程度のリガンドで作用
また、AID2技術は酵母やヒト細胞のみならず、マウス個体で利用することができることを見出した。現在まで得られた結果は、AID2技術が従来の問題点を克服したのみならず、様々な生物種においてプロテインノックダウンを可能にすることを強く示唆している。現在、これら研究成果を論文にまとめて投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
AID2技術の開発に成功し、これまでAID技術では発現制御することができなかった、マウス個体におけるタンパク質発現制御も可能になりつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はマウス個体におけるタンパク質発現制御の開発を進める。現在の方法では、脳関門の影響により、リガンド5-Ph-IAAの通過性があまり良くない。ケミカルバイオロジー的改良で、通過性の高い化合物を見出す。また、変異型OsTIR1に結合する阻害剤の開発も可能である。すでに候補化合物を複数合成したので、今後は細胞およびマウス個体における阻害効果を調べる予定である。
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