研究課題
コントロール条件下で野生株よりも多くのL型側根を形成するT12-3, T3-2, およびT12-36変異体を選抜し、マップベースクローニングによってこれら変異体の原因遺伝子としてダイナミン関連タンパク質をコードするOsDRP1CおよびOsDRP2Bを同定した。ダイナミンタンパク質は、細胞壁主成分であるセルロースの合成やオーキシン輸送タンパク質の細胞内局在を制御することが報告されている。そこで、オーキシン応答性プロモーターDR5の下流に蛍光タンパク質を発現するコンストラクトを野生株およびdrp変異体に形質転換によって導入し、側根原基におけるオーキシンシグナルの分布を解析した。その結果、野生株およびdrp変異体において、L型側根原基では特にその基部においてオーキシンの蓄積が認められた。また、オーキシン極性輸送阻害剤 (NPA) および小胞輸送阻害剤 (BFA) は外生オーキシンによる側根直径増加の作用を高め、このとき側根原基基部でのオーキシン蓄積が観察された。さらに、側根直径を正に制御するOsWOX10はオーキシン応答性であり、drp変異体においてその発現が高いことが判明した。また、グルココルチコイド処理によって機能獲得型のオーキシンシグナル抑制因子であるmIAA3が誘導されるmIAA3-GRシステムを用いたオーキシンシグナル伝達の誘導的抑制により、野生株背景における根端切除後の側根直径増加が抑制される傾向が見られた。さらにゲルシフトアッセイにより、側根原基で発現する促進型のARFタンパク質であるOsARF19がOsWOX10上流配列に結合することが示された。以上より、側根原基、特にその基部におけるオーキシンシグナルの上昇は、OsWOX10の発現上昇を引き起こし、L型側根を誘導すると考えられる。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Plant Science
巻: 13 ページ: 834378
10.3389/fpls.2022.834378