研究課題
本課題研究の目的は、ソバのゲノム配列を整備し、 誘導突然変異と自然突然変異を高度に保持したTargeting Induced Local Lesions in Genomes (TILLING) 集団および遺伝子同定ための分離集団(F2)を育成し、ソバの二花柱性の制御機構に関わる遺伝子群(S-supergene)を同定することにある。本研究により同定される遺伝子を他殖性品種に導入することにより、収量安定性に優れた自殖性ソバ品種を育成することが可能となる。また、本研究により整備されるソバのゲノム配列情報およびTILLING集団をは今後のソバの遺伝育種学的研究の進展に大きく寄与する。本年度は以下を実施した。S-supergeneの2つの対立遺伝子領域(Sおよびs対立遺伝子領域)を明らかにするため、1)昨年度に得られたS遺伝子座の2つのハプロタイプの塩基配列をリファレンスとし、これと重イオンビーム照射によりS遺伝子座を欠失した系統のゲノム配列を比較し、S遺伝子座が2Mb程度のゲノム領域に座上することを明らかにした。また2)EMSにより突然変異を導入したTILLING集団から、自家不和合性に関連すると考えられる2つのノックアウト型突然変異を検出した。これら2つの遺伝子のうち1つはTakeshima et al. (2019)によって新規に同定された二花柱性関連遺伝子 (FePG1) である。本成果によって、FePG1の機能が明らかになると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
ソバの自家不和合性遺伝子が座上するゲノム上の領域を決定でき、さらに自家不和合性に関係する2つの突然変異を検出できた。研究は順調に進んでおり、計画通りに本年度に終了できると考えている。
2019年度にゲノム科学的な解析はほぼ終了しており、貴重な変異体を得ることに成功した。本年度はこれまでのゲノム解読結果に基づき、得られた変異体を評価する。さらに、当該変異遺伝子の発現解析を実施することにより、ソバの二花柱型自家不和合性の全貌を明らかにする。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Breeding Science
巻: 70 ページ: 13-18
https://doi.org/10.1270/jsbbs.19075
巻: 70 ページ: 32-38
https://doi.org/10.1270/jsbbs.19083