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2020 年度 実績報告書

イネの栽培化にユニークに関わった種子の有芒性と無芒性の謎を解く

研究課題

研究課題/領域番号 18H02178
研究機関神戸大学

研究代表者

石井 尊生  神戸大学, 農学研究科, 教授 (20260648)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードイネ / 栽培化 / 野生イネ
研究実績の概要

本研究では、イネの栽培化の初期には利用されたが、その後消失の方向に選抜されてしまったユニークな器官である芒に焦点を当て、有芒性と無芒性の意義を明らかにすることを目的としている。本年度は、野生イネOryza rufipogon W630、栽培イネO. sativa Japonica Nipponbare、O. sativa Indica IR36、およびそれらの交雑後代系統を主に用いて、以下の4つの項目について形質調査ならびに遺伝子解析を行った。
1.栽培化初期の種子採集の再現:野生イネ系統の遺伝的背景において栽培品種O. sativa Nipponbare由来の種子の非脱粒性遺伝子ならびに穂の非開帳性遺伝子を導入した準同質遺伝子系統を用いた種子採集実験結果の解析を行った。
2.栽培化において無芒化を促進した遺伝子座の同定:芒が最も短い戻し交雑自殖系統と栽培イネ親系統(O. sativa NipponbareおよびIR36)間のF2集団を用いてQTL解析を行い、それぞれ5箇所の無芒性に関与する微動遺伝座を推定した。また、栽培品種O. sativa IR36と野生イネ系統O. rufipogon W630の間で推定された第2染色体上の無芒性に関する遺伝子座をファインマッピングにより157.4 kbの領域に限定した。
3.栽培イネに残る有芒性の遺伝的機構の解明:熱帯アジア5カ国の在来品種の種子から抽出したDNAを用いて、芒に関する主要遺伝子座(An-1, LABA1, RAE2)における機能喪失変異をin/delマーカーを用いて検出した。
4.野生イネへの遺伝子流動の実態解明:海外調査(ミヤンマー・カンボジア・ベトナム)を行った野生イネ集団の周辺の田んぼで収集された栽培イネのDNAサンプルを用いて、芒に関する主要遺伝子座における機能喪失変異の調査をした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

種子採集実験、微動遺伝子、ファインマッピングおよび遺伝子流動に関する項目は、ほぼ計画通り解析を終えた。

今後の研究の推進方策

来年度計画している、無芒性に関与する主動遺伝子と微動遺伝子を組み合わせた系統を幼苗期に効率よくマーカー選抜できるよう準備する。これまでの研究結果をまとめ、栽培化以前から現在に至る有芒性および無芒性の意義を多角的な視点から総合考察できるよう心がける。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Evaluation of Domestication Loci Associated with Awnlessness in Cultivated Rice, Oryza sativa2020

    • 著者名/発表者名
      Amarasinghe Yaddehige Priya Jayantha、Kuwata Rie、Nishimura Akinori、Phan Phuong Dang Thai、Ishikawa Ryo、Ishii Takashige
    • 雑誌名

      Rice

      巻: 13 ページ: 26

    • DOI

      10.1186/s12284-020-00386-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The role of wild rice (Oryza rufipogon) awns in seed dispersal2020

    • 著者名/発表者名
      Amarasinghe Yaddehige P.J.、Otsuka Mitsuharu、Lim Sathya、Ishikawa Ryo、Ishii Takashige
    • 雑誌名

      Seed Science Research

      巻: 30 ページ: 319~324

    • DOI

      10.1017/S096025852000046X

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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