パンコムギは、マカロニコムギ(ゲノム構成:AABB)とタルホコムギ(DD)との交雑により生じた異質6倍体である。マカロニコムギ品種「Langdon」を共通の親として早生および晩生型のタルホコムギを交雑し、合成6倍体コムギを作出した。早生型タルホコムギ由来の合成コムギでは、早生型DゲノムがA、Bゲノム上のCO-like遺伝子の発現を、ゲノムを超えて活性化し早生となる。この「ゲノム間クロストーク機構」はエピジェネティック発現制御が関与している。さらに、早生型合成パンコムギの育種的利用として、パンコムギ品種「ゆきちから」を北陸地方での栽培に適した早生型へと改良することに成功した。
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