研究課題/領域番号 |
18H02187
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
槇原 大悟 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 准教授 (70452183)
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研究分担者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 教授 (20377790)
菊田 真由実 名古屋大学, アジア共創教育研究機構, 特任助教 (20788418)
土井 一行 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (80315134)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イネ / オリザ・ロンギスタミナータ / 染色体断片置換系統 / 環境ストレス耐性 / フェノタイピング / 遺伝解析 |
研究実績の概要 |
本年度は、アフリカのみに自生する野生イネOryza longistaminata Chev. et Roehr. (以下、ロンギスタミナータ)由来の染色体断片を栽培イネ (Oryza sativa L.) 品種に導入した染色体断片置換系統(LCSILs)50系統に標準判別いもち病菌菌系を接種し、病害抵抗性反応を評価した。その結果、LCSILs 50系統のいもち病抵抗性は、ロンギスタミナータの染色体を含む親系統であるpLIA-1およびインド型の栽培イネ品種Kernel Basmatiに由来する複数のいもち病抵抗性遺伝子の組み合わせによって、感受性から抵抗性まで広く分離していることが明らかになった。また、ケニアの畑圃場において、いもち病が発生しやすい条件を整え、LCSILs全50系統、いもち病抵抗性の国際判別品種群(一遺伝子系統群)などを栽培し、いもち病への罹病程度を評価した。その結果、ケニア現地のいもち病菌レースに抵抗性を示す系統が同定された。さらに、LCSILs 50系統の遺伝子型を次世代シーケンサーで解析し、いもち病菌接種試験の結果と遺伝子型との整合性の検定を進めた。また、LCSILs 50系統の生育をケニア農畜産業研究機構の試験水田で評価したところ、間断灌漑による軽度な水ストレスに反応して出穂が遅延する系統が同定された。この系統が有する形質を利用して、水管理によって人為的に出穂期を遅らせることで、ケニアの高地で発生する冷害を回避できる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ケニアの水田で栽培試験を行ったが、新型コロナウイルスの影響により外務省から渡航に関する注意喚起が発令され、いもち病抵抗性を十分に評価することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
データの信頼度を向上させるため、ケニアの栽培環境下における栽培試験を継続して実施する。さらに、遺伝子解析を行い、形質評価の結果との整合性を明らかにする。得られた成果を学会や学術雑誌などで公表する。
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