研究課題
前年度までに、Oryza longistaminata Chev. et Roehr. (以下、ロンギスタミナータ)由来の染色体断片を栽培イネ (Oryza sativa L.) 品種Kernel Basmatiに導入した染色体断片置換系統(LCSILs)50系統のいもち病抵抗性を評価し、ケニアのいもち病菌レースに抵抗性をもつ3系統を選抜した。今年度は、選抜したLCSILs系統をいもち病が発生しやすい条件を整えたケニアの圃場で栽培し罹病程度を評価した。その結果、選抜した有望系統はケニア現地のいもち病菌レースに抵抗性を示すことが確認された。また、選抜した系統を用いてケニアの水田で生産性検定を進めた。日本国内においては、LCSILs、その親系統およびいもち病抵抗性の国際判別品種群(一遺伝子系統群)の12種のいもち病菌レースに対する反応パターンを詳しく解析し、それぞれの系統が保有するいもち病抵抗性遺伝子を推定した。さらに、LCSILs 50系統の遺伝子型を次世代シーケンサーで解析し、LCSILsの遺伝子供与親であるpLIA-1の染色体置換位置と各いもち病抵抗性遺伝子の座乗位置を比較することで、各LCSILs系統が保有するいもち病抵抗性遺伝子をより詳しく検討した。その結果、LCSILs系統間のいもち病抵抗性の差異はpLIA-1の染色体断片が導入されたことによるものと考えられた。以上の通り、ケニアのいもち病菌レースに有効な遺伝子を含む多様ないもち病抵抗性遺伝子が導入されたLCSILs系統は、バスマティのいもち病抵抗性育種のための交配材料として極めて有用であることが示された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Agronomy and Crop Science
巻: 00 ページ: 00
10.1111/jac.12524