研究課題/領域番号 |
18H02193
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
菅谷 純子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90302372)
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研究分担者 |
瀬古澤 由彦 筑波大学, 生命環境系, 助教 (90361310)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニホンナシ / 休眠 |
研究実績の概要 |
本研究では、落葉果樹の休眠生理についてROSの役割を明らかにするため、ニホンナシの花芽における酸化ストレス状態や、植物ホルモン関連遺伝子の発現および植物ホルモンとの関連について検討することとした。 はじめに、ニホンナシ‘豊水’の異なる低温遭遇時間の花芽における、植物ホルモン関連遺伝子発現の解析と植物ホルモン量の定量について明らかにするために、花芽が休眠中に低温蓄積に伴い植物ホルモン関連遺伝子の発現がどのような変化をするのかについて検討した。その結果、アブシジン酸(ABA)の生合成に関連する遺伝子の発現は、低温蓄に伴い増加していたが、同時に代謝に関わる酵素であるABA8'オキシゲナーゼの発現も増加しており、休眠芽におけるABA量の制御が複雑であることが示唆された。一方、オーキシンの生合成に関わる遺伝子の発現については、低温蓄積に伴い増加することが示された。また、花芽における植物ホルモン量の定量を行った結果、ABAの蓄積や、ジベレリン量の低下が認められ、休眠打破との関連が示された。ABA量の変化は、DAM遺伝子の発現量の変化と一致していた。 2.低温蓄積に伴う休眠制御関連遺伝子の発現量の解析を行うため、DAM(Dormancy associated MADS gene)遺伝子の発現を調べた結果、発現量は増加しており、自発休眠の打破に伴い発現量が低下することが示された。この結果は、既に他の報告と一致するものであった。 3.休眠芽における抗酸化関連遺伝子の発現解析するために、低温遭遇量の異なる花芽をサンプリングし、抗酸化関連遺伝子の発現解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ポット植えのニホンナシの花芽の状態が、病害および気象条件により良好でなかったため、実験に必要なサンプルを十分に得ることができなかった。そのため、次年度のために、新たな苗木の数を増やして、試験研究を行うため、苗木の準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
花芽の酸化還元状態を明らかにするための生化学的実験を進めるとともに、抗酸化に関わる遺伝子発現解析を行う。 ポット植えの植物を用いた実験とともに、露地植えの成木由来の結果枝を用いて、異なる温度条件に遭遇させた芽のサンプリングを行い、遺伝子発現解析に用いる。
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