ココヤシの侵入害虫キムネクロナガハムシに感染する共生細菌Candidatus Mesenet longicola及びWolbachiaの野外における感染拡大要因を明らかにするため、2018年と2021年に沖縄にて野外調査を行った。ココヤシ新芽からハムシ成虫を採取し、特異的プライマーを用いて細菌の感染を確認したところ、Ca. M. longicolaのみに感染する個体、Wolbachiaのみに感染する個体、双方の細菌に重複感染する個体、無感染の個体が存在し、2018年に比べ2021年では重複感染する個体の割合が高かった。室内において交雑実験を行ったところ、Ca.M.longicolaとWolbachiaはbidirectional CIを引き起こすことが確認された。重複感染した雌は重複感染、単独感染、及び無感染いずれの感染状況の雄と交尾しても子孫を残せるため、繁殖上他の感染状況の雌よりも有利になる。このことが野外で重複感染個体の割合が上昇した一因と考えられた。
|