研究課題/領域番号 |
18H02237
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
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研究分担者 |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
小長谷 啓介 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90612739)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スギ / 人工林 / 分離・培養 / DNA解析 / 細根 |
研究実績の概要 |
日本の森林面積の18%を占めるスギ人工林に関わる微生物を明らかにするため,本年度は土壌条件(特に酸性度)の異なる林分において,スギ根系に関わる内生菌(明らかな病徴を示さずに生息する菌類)の調査,実験を進めた. 中日本に位置する5府県(大阪府,三重・兵庫・福井・石川県)の7林分からスギ林の土壌を採取して,そこに含まれるスギの細根から菌類の分離を行った.各林分内に設定した1 ha内の3から5地点において土壌を採取し,そこに含まれるスギ細根の1次根,2次根別に過酸化水素水で表面殺菌してから,ポテトデキストロース寒天培地上に静置した.この分離・培養手順で得られた菌株を内生菌と定義した.各菌株からDNAを抽出してから,核リボソームDNAの介在領域(Internal transcribed spacer,ITS)領域の塩基配列を決定し,Blast検索により所属する分類群の推定を行った. その結果,全調査地のスギ細根から次数根に関わらず内生菌が分離され,その分離率は,1次根で35%,2次根で30%であり,各林分では約30~40%であった.現在までに解析されたITS領域のDNA配列は合計で79の操作的分類群(OTU)に大別された.その中で,ビョウタケ(Helotiales)目が最優占し,OTUの群集構造は調査地間や距離で明瞭な傾向を示さず,土壌pHが有意な環境因子であった. 以上より,スギ細根には内生菌が分布しており,周囲の土壌環境が本菌の分布様式に影響をおよぼすものと考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに問題なく調査,実験が進められている
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今後の研究の推進方策 |
今後,当初の計画に従い,スギの根系に関わる細菌類の群集構造を明らかにする.
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