研究課題
泥炭の嫌気条件下の培養実験により、泥炭のpHがそのメタン生成ポテンシャルに及ぼす影響の調査を進めた。熱帯泥炭湿地林を伐採とプランテーション化の過程では、低いpH(酸性)の泥炭を中和することでオイルパームの生育をよくしている。実験室内でpHを調整した熱帯泥炭土壌を用いて培養実験を行った。採取した泥炭土壌(pH3.5)と消石灰を加えてpHをそれぞれ4.7、6.6、7.3に調整した泥炭土壌では嫌気条件下で培養して発生したメタン量が、1オーダーから2オーダー程度大きかった(培養後76日の結果)。また、それぞれの76日間培養後の土壌について、メタン生成菌を含む微生物叢にどのような変化があるかについて、土壌古細菌・細菌についてのDNAシークエンスなどを進めた。その結果、pHを調整したpH6.6, pH7.7の培養土壌では、メタン生成に関わる古細菌の総検出数が有意に増加したことが示された。これらの結果は、プランテーション化による酸性泥炭土壌の中和作業がメタン生成菌の増殖を促し、結果として泥炭中のメタン生成を増大させることをしめしており、これまで発表されていない結果となる。オイルパーム栽培の際は水位を低下させる管理を行うため、管理が行き届いたところでは水位低下によるメタン生成の抑制が見込まれる。本研究で得られたpH調整がメタン生成に及ぼす影響の知見から、水管理が行き届いていない小規模なプランテーションなどでメタンの放出が増加する可能性が示された。フラックス観測タワーを用いた泥炭湿地林からのメタン放出観測については、新型コロナウィルス感染症による渡航制限などの影響を受け、当初の予定よりも規模を縮小せざるを得なかったが、現地カウンターパートとのオンライン会議などを通じて継続し、複数年の年次変動データを蓄積できた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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