研究課題/領域番号 |
18H02242
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
光田 靖 宮崎大学, 農学部, 教授 (30414494)
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研究分担者 |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 教授 (00231150)
平田 令子 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50755890)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 送粉サービス / 二ホンミツバチ / 景観構造 / 照葉樹林再生 |
研究実績の概要 |
宮崎県綾町において、引き続き日向夏に対するミツバチ訪花数調査を行った。今年度の調査結果では例年よりも二ホンミツバチの発見数が多い結果となった。ミツバチ訪花数調査の調査点について、航空写真から作成した土地利用図を用いて、周囲の土地利用割合を計測した。ミツバチ訪花数と周囲の土地利用割合との関係を統計モデルにより解析したところ、周囲に天然林が多いほど、農地が多いほどミツバチ訪花数が多くなるという傾向が明らかになった。これらの傾向はこれまでの研究成果と一致するものであったが、今年度のデータを用いた解析では、周囲の景観構造による影響が例年よりも強く表れた。 養蜂巣箱前でミツバチを捕獲して花粉袋に貯留していた花粉を採取し、顕微鏡観察によって植物種を同定した。また、綾町内に観察経路を設けて開花植物のモニタリングを行った。花粉調査と開花植物調査の結果から、シロツメクサのような農地の畔に咲く花資源を多く利用していることが示唆された。 宮崎県綾町内の国有林において、人工林林床における広葉樹の侵入状況を調査した。昨年度の分析により分類された3つの下層植生タイプについて、どのような要因でどのような下層植生タイプとなるのか回帰分析を行った。まず、直近5年間で間伐を受けている場合には照葉樹林林冠構成種型にはならないことが分かった。さらに、照葉樹林冠構成種型になる条件として前の土地利用が広葉樹林であること、現存する広葉樹林に近いこと、高齢林であること、および樹冠投影面積が大きいことが明らかとなった。この解析の結果から、実質的には広葉樹林に隣接している人工林でなければ、下層植生が照葉樹林林冠構成種型になることは難しく、人工林から照葉樹林を再生できるのは限られた条件においてのみであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた野外調査(日向夏に対するミツバチ訪花数調査、養蜂ミツバチによる花粉調査、農地の開花植物調査、および人工林における下層植生調査)について、全て予定通りに実施することができた。 そのデータを用いた解析についても、予定通り実施して、作業仮説にあった結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き野外調査を行って、データの蓄積を進めるとともに、解析を進める。これまでの結果から、ミツバチ訪花数と景観構造との関係に大きな年次変動が観測されており、その要因について希少などの外部データを用いながら明らかにしていく必要がある。 昨年度および今年度において、ミツバチ訪花数と日向夏結実率の関係を明らかにするための予備的な調査を行ってきた。調査方法を確立することができたので、次年度以降は、この関係性を明らかにするための研究を重点的に行っていく。
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