研究課題/領域番号 |
18H02244
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
井上 昭夫 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (80304202)
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研究分担者 |
山本 一清 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (40262430)
溝上 展也 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00274522)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地上レーザ・スキャナ / 針葉樹 / 人工林 / 樹幹形 / 森林計測 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,地上レーザスキャナ(以下,TLSと記す)のための森林計測学の新しい理論を構築することにある。 研究開始年度にあたる本年度は,まず,TLSによる森林計測に関する国内外の文献を詳細にレビューした。その結果,現行のTLSによる森林計測について,(1) 樹冠によってレーザが遮られるため,樹高が過小評価されること,(2) 枝下以下の樹幹形については,TLSによって正確に計測できること,(3) TLSによる樹種判別は,現在のところ困難であることなどが整理できた。 以上のことより,本年度においては,枝下以下の樹幹形に関する情報をもとに,針葉樹の樹高を推定するための理論を構築することをめざした。まず,針葉樹の幹材積推定に用いられる「望高法」を改良した新しい樹高推定のための理論を構築した。パラメータの設定と妥当性の評価には,国内外で収集された針葉樹(スギ,ヒノキ,カラマツおよびバンクスマツ)の伐倒木データと樹幹解析データを用いた。解析の結果,構築した理論によって,樹冠による影響を回避しつつ,また,樹種の違いとは関係なく,従来のTLSによる計測に比べ,樹高の計測誤差を大幅に軽減できる可能性が示唆された。 また,構築した理論の現実林分での検証のために,成育段階の異なる針葉樹人工林3林分において,2種類のTLS(3D WalkerとOWL)によるデータ収集,ならびに手動による林分調査と伐倒調査も行った。これらのデータについては,今後,解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のデータを有効活用することで,本研究において目標の1つとする樹高推定の理論を構築するとともに,鹿児島大学農学部附属高隈演習林の協力により,今後の理論検証に必要となる地上レーザ・スキャナのデータを取得できたため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に構築した樹高推定の理論を参考にしつつ,胸高直径の推定理論の構築を進める。同時に,昨年度に取得した地上レーザ・スキャナデータの解析を進め,理論の妥当性を検証する。
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