研究課題
本研究課題の目的は,地上レーザスキャナ(以下,TLSと記す)のための森林計測学の新しい理論を構築することにある。平成30年度には,まず,これまでの国内外におけるTLSに関する先行研究をレビューし,樹冠によってレーザが遮断されるために,樹高が過小に評価される課題を明らかにした。そして,樹冠による影響を受けないと予想される枝下以下の樹幹形に関する情報をもとに,針葉樹の樹高を推定するために「望高法」という幹材積の推定方法を改良し,その妥当性を伐倒木のデータをもとに検証した。この方法によると,胸高直径を1/2,2/3あるいは3/4に縮小した樹幹直径となる高さ(これを望高と呼ぶ)から,経験式(直線式)によって樹高を推定できる。また,望高は高い位置に設定するほど,樹高の推定誤差が小さくなる。以上の成果については,日本森林学会誌に投稿し,受理された(令和2年2月3日受理)。以上のような知見をもとに,令和元年度においては,まず,任意の縮小率に応じて樹高を推定できるよう,考案した方法を改良した。具体的には,樹幹形をKunze式によって記述することにより,望高と樹高との関係が直線式によって記述できること,また,その傾きと切片が縮小率の関数となることを理論的に示した。そして,昨年度と同じ資料をもとに,この理論式の妥当性を検証したところ,樹高の推定誤差をより小さくできることがわかった。さらに,昨年度に引き続き,構築した理論の現実林分での検証のために,さまざまな地域の針葉樹人工林において,2種類のTLS(3D WalkerとOWL)によるデータ収集,ならびに手動による林分調査と伐倒調査を行った。これらのデータについては,今後,解析していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
文献資料より理論の構築に不可欠な樹幹形のデータを大量に収集できたため。
令和元年度に改良した理論をTLS用の解析ソフトに搭載し(ソフトウェア開発業者に依頼予定),これまでに収集したTLSデータを解析することで,現実林分への適用可能性を評価する。また,樹高だけでなく,直径や幹材積についても,TLSによる計測(推定)方法の改良について検討する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (17件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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