研究課題/領域番号 |
18H02245
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
升屋 勇人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70391183)
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研究分担者 |
戸田 武 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (00506529)
市原 優 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353583)
森山 裕充 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20392673)
景山 幸二 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (50224366)
古屋 廣光 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (60141074)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ウルシ / 樹木疫病菌 / 衰退 |
研究実績の概要 |
全国各地の森林、渓流、樹木衰退林において、リター、土壌サンプルを採取し、釣菌試験でPhytophthora属菌の検出を行った。その結果、様々な種類のPhytophthora属菌が検出された。合計で1000株以上の分離ができたが、まだいくつかの種名は明らかになっていないため、現在継続して形態とDNAから種を同定中である。本年度、同定できた種類のうち、中でもP. cinnamomiが日本国内に広く分布していることが明らかとなった。また、東北地方のクリ衰退林においてP. xcambivoraが検出された。本病原菌をブナ樹皮に接種したところ、2か月で30cm以上の壊死斑が樹皮下に形成された。また渓流周辺で集団的に枯死したミズナラ実生からも検出されたことから、ミズナラ実生の枯死において中心的な役割を果たしている可能性が考えられた。全国で植林したウルシの衰退傾向が著しい地域において調査を行った結果、土壌より植物疫病菌の1種Phytophthora cinnamomiが検出された。この菌は北海道や岩手県を除く衰退林のほとんど全てで検出された。分根苗を用いた土壌混和による接種試験では、菌を入れていない土壌と比較して明らかな衰退枯死が見られた。本研究により、P. cinnamomiは日本のウルシ植林において阻害因子の一つとなり得ると考えられた。これまでに考えられていたよりも多くの樹木疫病菌が分布し、また実際に被害を引き起こしていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、日本全国での樹木疫病菌の探索を行っている。南西諸島、九州、四国を中心に1000株以上の分離ができた。現在、形態とDNA解析で同定中であり、いくつかの新知見も見出しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後も前年度同様に全国的な樹木疫病菌の探索と被害実態の解明を行う。特に研究計画に変更はない。
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