研究課題
全国の天然林、人工林において樹木疫病菌の調査を行った。特に渓流のリターを中心に調査を行うとともに、枯死木があればその根圏土壌からの分離を行った。その結果、約1000菌株を確立した。これらの中にはP. cinnamomiなどの重要病害も含まれていた。またヒノキ根圏から北米で重要病害とされるP. lateralisを確認した。近年台湾において分布が明らかになっているPhytophthoraとの共通種が多く分布していることが明らかとなった。クリの疫病菌であるP. castaneaeは中部地方の森林において分布していることも明らかになった。P. cinnamomiとP. cambivoraは日本に広く分布することが明らかとなった。また日本国内で初めてP. ramorumを確認した。本種は遺伝子解析により土着種であることも確認した。P. cinamomiの分布北限は現在までのところ山形県であった。これまでに国内では約20種程度の種数が確認されていたが、そのほとんどは畑地であり、森林において多くの種類が検出される点は新規性が高く、日本における本病害のリスクを正確に把握するための一助となる。また、関西においてヒノキ幼木の枯死にP. cinnamomiが関係していることを接種試験と土壌中の分布調査から明らかにした。また、アオキ、アセビの葉枯れにもPhytophthora属菌が関与していることを明らかにした。P. cinnamomiを各種ブナ科樹木苗木の樹皮に有傷での接種試験を行った結果、ミズナラ、コナラ、クヌギで特に強い病原力を示すと考えられたが、成木を枯死させるほどのものではないと考えられた。これらの成果は、これまで原因不明であった樹木衰退のいくつかに本病原菌が関与する可能性を示すものである。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Fungi
巻: 7 ページ: 226~226
10.3390/jof7030226
森林防疫
巻: 70 ページ: 11-21