研究課題
①イオン液体を用いたセルロースの酸化的エステル化反応の開発と②二軸混練機への適用検討の2項目について検討を行った。①では、これまでに開発した高活性な触媒機能を示す1-エチル-3-メチルイミダゾリウムピリジノレート(EmimOPy)を中心にイオン液体の構造と機能について詳細を調べた。Emimの2位にフェニル基を有する1-エチル-2-フェニル-3-メチルイミダゾリウム(Empim)OPyを用いたところ、セルロースは溶解したものの反応は一切進行しなかった。さらに、塩基性度の低いアニオンを有する種々のEmim型イオン液体を用いた場合も反応が進行しなかったことから、N-ヘテロサイクリックカルベン種を発生させるために2位に水素原子を持つEmim構造と適切な塩基性を持つアセテート(OAc)やOPyなどのアニオンの組合せが本反応の進行に不可欠であることが確認された。一方で、触媒機能を持つEmimジシアナミド(N(CN)2)を用いた場合にはセルロースが溶解せず、得られた生成物にエステル構造は一切確認されなかった。また、EmimOAcを用いた場合には反応系中においてアシルイミダゾリウム活性種との間で混合酸無水物を形成し、望まぬアセチル化反応を併発することが確認されたが、非カルボキシラート系アニオンとしてOPyを有するEmimOPyにおいては混合酸無水物を形成せず、目的のエステル化のみが進行したことにより高い置換度で目的物が得られたと考えられる。以上のことから、イオン液体を用いたセルロースの酸化的エステル化反応においてEmimOPyが良好な触媒かつ溶媒として機能する様子が明らかとなった。②では、従来の活性エステルを用いた古典的エステル化手法から天然不飽和アルデヒドを用いた酸化的エステル化に切り替えて同反応を行ったところ、目的のフルバイオベースプラスチックが連続的に合成できることが確認された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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