研究課題
海域のなかでも特に浅海域は地球上の全生態系のなかで最高の生物生産速度をほこり、 多種多様な動物が生息している。その浅海域は、物理・生物的性状が異なる生態系(藻 場、岩場、砂場など)により複雑に構成されており、移動能力の高い動物(特に魚類) は隣接する生態系間を行き交い生活をおくる。しかし昨今の人間活動によりこの複合生 態系が破壊・分断されるようになり、生態系機能の定量評価、再生ならびに保全の技術 開発が喫緊の課題となっている。本研究では、浅海域に生息する高次捕食者であるキジハタの摂餌生態(栄養フロー)を指標 として、複合生態系機能の定量評価をおこなう。 (1) “水中の動物が”“いつ”“どこで”“何を”“どれくらい食べているの か”を“長期にわたり労力をかけず”に観察できる理論・技術を構築する。 (2) 構築した技術をもちいて、浅海域における複合生態系機能を定量評価する。本年度は開発・製造した餌生物に特有の加速度波形を組み込んだ超音波発信機を使用して、浅海域においてキジハタが“いつ”“どこで”“何を”“どれくらい食べているの か”を“長期にわたり”観察した。調査は瀬戸内海において実施した。実験期間中は、キジハタは魚礁を中心に生活をしていた。また、エビ、カニ、魚を摂餌する行動が毎日確認され、昼夜問わず摂餌するものの夜間に摂餌する傾向が強いことがわかった。本年度の研究により、開発・製造した摂餌検出機能付き発信機を使用することで、自然環境下におけるキジハタの摂餌行動“いつ”“どこで”“何を”“どれくらい食べているのか”を長期間連続的に把握することに成功した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS ONE
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