魚類コラーゲンペプチドの医療分野への応用をめざした研究

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18H02273
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 都木 靖彰 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (10212002)
• 研究分担者: 吉田 誠一郎 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 研究職員 (00806002) ; 松嶋 景一郎 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 工業試験場, 主査 (10469679) ; 柚木 俊二 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 上席研究員 (20399398) ; 畑山 博哉 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 副主任研究員 (80614552) ; 佐伯 宏樹 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (90250505)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: コラーゲンペプチド / 水産廃棄物利用 / 創傷治癒 / 慢性創傷（褥瘡）治癒

研究実績の概要

(a) 医療用コラーゲンペプチド (CP) の生産技術開発： 産業化を想定し，19年度に開発したゼラチン抽出技術を用いてチョウザメ皮膚から高純度ゼラチンを抽出し，それを原料として高温高圧処理（バッチ法）によりCPを生産した．2回実験をおこない，生産されるCPの分子量分布や抗酸化能を定量して，再現性よくCPが合成できることを確認した．加えて，メイラード反応産物の生成量を定量し，細胞阻害効果を示さないCP合成に向けて温度，圧力などの最適条件を決定した．現在その条件を基にマイクロ化学プロセスによるCPを生産中である．
(b) CPの機能性解明：高温高圧処理により高純度ゼラチンから生産したCPの分子量分布，抗酸化能を定量した．処理条件がきつくなるとCPは低分子化し，抗酸化能が高くなることが明らかになった．メイラード反応産物の生成量から細胞活性阻害を起こさないと推測した最適な高温高圧条件で生産したCPは，酵素処理CPよりも分子量が小さく，ABTSラジカル消去活性は1.7倍，DPPHラジカル消去活性は約9.4倍高かいことを明らかにした．加えて，酵素処理により作成したCPがマクロファージ（Raw264.7）の大腸菌に対する貪食能を抑制することを発見した．このことから，CPがマクロファージの活性を抑制し，結果としてマクロファージの過剰反応が起こるような病態（関節炎など）の炎症を低減する可能性を示すものである．しかしながら，CPの細胞増殖や遊走におよぼす反応は，20年度中には試験できなかったので，21年度夏頃におこなう予定である．
(c) CPの溶出性の確認：最適な高温高圧条件で生産したCPの細胞活性試験が未実施のため，溶出性試験は2021年度まで延期した．
このように，いくつかの試験で遅れが見られた原因は，COVID-19の影響で研究室の活動が制限されたためである．

現在までの達成度 (段落)

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和2年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Purity and properties of gelatins extracted from the head tissue of the hybrid kalamtra sturgeon (2021)
  • 著者名/発表者名: Islam Md. Rashidul, Yuhi Tomoharu, Meng Dawei, Yoshioka Takeya, Ogata Yumi, Ura Kazuhiro, Takagi Yasuaki
  • 雑誌名: LWT - Food Sci. Technol. 巻: 142 ページ: 110944～110944
  • DOI: 10.1016/j.lwt.2021.110944
  • 査読あり / 国際共著