水産魚の性決定遺伝子は典型的な有用遺伝子であるが、その特定は容易ではない。この問題を解決するため、申請者は、ブリ類とフグ類をモデルとした研究を継続しており、今回、ブリ類3種の性決定遺伝子がHsd17b1遺伝子であるという強い証拠を得ることに成功した。さらに、その遺伝産物の性ステロイド代謝活性が雌雄間で異なることを明示し、性ステロイドが性決定の最初のトリガーを引いていることを明らかとした。また、フグ類の研究では、性染色体の一部が、ゲノム全域に由来する多数の重複断片を吸収するかたちで急速に拡大することを示した。こういった性染色体をもつ水産魚は、これまで考えられてきた以上に多い可能性がある。
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