研究課題/領域番号 |
18H02280
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大嶋 雄治 九州大学, 農学研究院, 教授 (70176874)
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研究分担者 |
荻野 由紀子 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00404343)
鵜木 陽子 (加藤陽子) 九州大学, 農学研究院, 技術専門職員 (10380560)
太田 耕平 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10585764)
北野 健 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40336219)
島崎 洋平 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40363329)
杣本 智軌 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40403993)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リポカリン / ストレス / AGP / 白点虫感染 |
研究実績の概要 |
TBT-bp1のKOに関して、F0でeGFPの配列を持つ変異個体が得られたが、生殖細胞に変異を持つ個体はまだ得られていない。β-actinのpromoterによりTBT-bp2をGFPとの融合遺伝子として発現するトランスジェニック系統を樹立した。TBTbp2KO個体にエストロゲン合成阻害剤(AI)処理を行い、KO個体の表現型を解析した。その結果、AI処理により対照XX個体は約半数が雄化したのに対して、KOメダカのXX個体は全ての個体が雄化することが明らかとなり、このKO個体は雄化しやすい系統であることが確認された。 TBTbp2-KOメダカと野生型メダカの白点虫(Ichthyophthirius multifiliis)に対する抵抗性の違いを感染実験により評価した。33,0000 cells/Lの濃度で白点虫をメダカに暴露して、30日間観察し、生残率を算出し、感染実験時の水中のセロントの数を経時的に計測した。その結果、野生型のほうがTBTbp2-KOよりも高い生残率を示し、白点虫に感染させたTBTbp2-KOの飼育水中にセロントが大量に発生することが確認された。よってTBTbp2が白点虫に対する生体防御に関与することが示唆された。マサバについては、肝臓のRNA-seqからの網羅的遺伝子発現データに加え、ゲノム情報を利用することにより、TBTbp1に相同な2つの遺伝子配列を取得した。また、メダカTBTbp2と部分的に相同性の高い配列情報が得られた。マダイについては、Edwardsiella tarda感染後の 肝臓のRNA-seq解析データから、TBTbp1の発現が認められたのに対し、TBTbp2に相同な遺伝子の発現は認められなかった。加えて、カタクチイワシでは雌雄の肝臓のサンプルを採取するとともに、ホシササノハベラについては雌雄及び性転換誘導後の個体の肝臓を採取した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではTBT-bpsの機能の解明のため 、 TBT-bp2KOメダカを用いその発生、性分化、成長、遺伝子発現への影響を解析している、その結果、成長は殆ど変化がないが、ストレスにより雄化しやすいことを解明しつつある。また TBT-bp2 KOの性分化機能に及ぼすメカニズムとして、TBTbp2KOメダカではコルチゾルやエストロゲン合成阻害剤の血中濃度が上昇しその作用が増加したため性転換が起こったと考察している。さらに、 魚病寄生虫感染への影響を評価し、TBTbp2KOメダカは白点虫感染に関与しているデータを得た。安定的に白点虫感染させることができ、今後本感染のメカニズム解明に有用であると思われる。また GFP 遺伝子をTBT-bp1, 2遺伝子に組み込んだ過剰発現型メダカを作製した。さらに、水産有用魚種についてストレスとTBT-bp1, 2発現のデータが蓄積されている。しかしTBTbp2ノックインは非常効率が低く、現在数を増やして追試を行っている。以上のことから、概ねプロジェクトは順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度でありTBTbps機能解析のためKOおよびKIN個体の作出を進める。さらに、そららを利用して、性転換に及ぼすストレス物質低減作用の確認、白点感染機構への関与、他養殖魚におえけるTBTbpsのストレスレスポンス等の解明を進めて行く。また論文発表を進めて行く。
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