研究課題/領域番号 |
18H02288
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 武祝 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40202329)
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研究分担者 |
戸石 七生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20622765)
稲葉 継陽 熊本大学, 永青文庫研究センター, 教授 (30332860)
小川 道大 金沢大学, GS教育系, 准教授 (30712567)
安藤 光義 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40261747)
今村 直樹 熊本大学, 永青文庫研究センター, 准教授 (50570727)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 農村地域社会 / 郷 / 近世村 / 比較農村社会史 |
研究実績の概要 |
1)これまでの共同研究を通じて整理した分析枠組みと分析手法を用いて、研究対象地の事例に関する資料の収集・整理および分析をおこなった。その際、次の4つの観点を重視した。①中世・近世の農村開発にともなうムラ相互の対立と秩序形成、②郷単位での非農業職能集団の自治と国家権力による身分支配、④近世における郷レベルの行政・自治機構の形成、④近現代の市町村合併過程における郷領域の忘却あるいは再発見。 2)中世から近世期における郷単位での非農業職能集団の自治と国家権力による身分支配の歴史的実態に関する資料にもとづいて、日本(神奈川県秦野)および西インド(インダプール郡)の比較分析を行った。 3)近世における郷レベルでの行政・自治機構の形成という観点から、熊本藩における「手永」とよばれる郷単位の地方行政組織に関して、中世-近世の過渡期および近世-近代の過渡期における制度的変遷に関する分析をおこなった。 4)植民地朝鮮で実施された郡の統廃合政策ののち、旧郡領域で形成されてきた社会的ネットワークがどのように改編されていったのかについて分析を行った。郡の統廃合以降も、旧郡の影響が残ることが分析できた。 5)朝鮮と日本における村落を、比較史の視点から分析した。研究史上では、両地域における相違点が強調されてきた。それに対して、①構成員の移動性、②非農民身分の居住、③村落を超えたネットワークの形成という3つの観点から、両者の類似性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大にともなって、国内および国外ともに現地調査が全くできなかった。文献資料についてできる限り収集に努めたが、事例分析を進めるうえで限界があった。当初、現地調査には、当該地域の担当者以外の参加者も同行することで、比較分析のための視点を共有する計画であったが、それも実行できなかったために、比較分析のための枠組み構築に遅れが出た。 年度末における研究会も開催ができなかった。そのため、問題意識と研究進捗度について共有する作業が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1)これまでの共同研究を通じて整理した分析枠組みと分析手法を用いて、研究対象地の事例に関する資料の収集・整理および分析をおこなう。 2)近世において非領国支配地域であった秦野市横野地区と領国支配地域であった熊本県に関する現地調査を実施して資料収集をする。 3)西インド(インダプール郡)と朝鮮(韓国・全羅北道益山郡および京畿道楊州郡)に関する現地調査を通じて、資料収集を行なう。 4) 上記2)と3)の現地調査に関しては、担当者以外のメンバーが同行して、国際比較分析のための観点や手法についての共通理解を深める。 5)これまでに入手し整理を行ってきた資料を用いて、事例分析を進捗させる。 6)期末に研究会を開催する。研究成果の公表の方法について議論を深める。
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