鳥獣害の軽減と農山村の活性維持を目的とする野生動物管理学と農村計画学との連携研究

2022 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18H02289
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 審査区分: 小区分41020:農業社会構造関連
• 研究機関: 岐阜大学
• 研究代表者: 鈴木 正嗣 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90216440)
• 研究分担者: 山端 直人 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (00503856) ; 八代田 千鶴 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (20467210) ; 横山 真弓 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (50344388) ; 九鬼 康彰 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (60303872) ; 伊吾田 宏正 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (60515857) ; 武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259) ; 江成 広斗 山形大学, 農学部, 教授 (90584128) ; 東口 阿希子 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (90804188)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 鳥獣 / 農林業被害 / 野生動物管理 / 農村計画 / 個体数管理 / ジビエ / 人口減少 / 集落

研究成果の概要

被害管理や個体数管理を目的とする捕獲活動においては，狩猟を趣味とする狩猟者に依存した現体制の変革が必要があることを確認するとともに，地域住民や林業事業体職員が主体として従事する実現可能な新体制モデルを解析・提案した。あわせて，効率性の高い捕獲を実現する上での夜間銃猟ならびに指定管理鳥獣捕獲等事業等の制度の有用性を確認し，それらの社会実装のための方策や留意点を示した。また，獣害対策への貢献や地域社会の活性化を前提に語られるジビエ振興については，いずれの効果も限定的であることを検証し，導入や運営にあたっては十分な計画性と将来見通しが欠かせないとの注意喚起を行った。

自由記述の分野

野生動物管理学

研究成果の学術的意義や社会的意義

獣害対策は，動物に焦点を当てた生物学的観点からの対策に偏りがちである。しかし，現代日本における獣害の深刻化は，人口減少や一極集中等の社会現象が根本原因であり，動物の行動や生態に生じた何らかの異変に起因するものではない。したがって，従来型の生物学的観点のみからの対策は対症療法であり，抜本的な解決にはつながりにくい。本研究の最大の学術的・社会的意義は，この認識にもとづき，農村計画学と生物学をバックグラウンドとする野生動物管理の連携研究を展開するとともに，社会科学的な観点からの政策提言を行った点にある。いわば，「社会野生動物管理学」ともよぶべきアプローチの先進事例を築いたという実績である。