研究課題/領域番号 |
18H02291
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中塚 雅也 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40432562)
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研究分担者 |
内平 隆之 兵庫県立大学, 地域創造機構, 教授 (70457125)
小田切 徳美 明治大学, 農学部, 専任教授 (10201998)
高田 晋史 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (90739781)
山浦 陽一 大分大学, 経済学部, 准教授 (20462260)
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50379616)
鶴田 宏樹 神戸大学, 学術・産業イノベーション創造本部, 准教授 (20346282)
柴崎 浩平 神戸大学, 農学研究科, 特命助教 (60822046)
木原 奈穂子 神戸大学, 農学研究科, 特命助教 (40839916)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エコシステム / 人材育成 / 起業 / 地域運営組織 / アクター / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
A人材育成エコシステムのモデル確立については,エコシステムおよび地域人材育成に関する既存研究の整理を進めた.実践的研究の主フィールドである兵庫県丹波篠山市では人材育成・起業促進システムのアクターの把握と構造の分析を行った.また,国内先進事例として,島根県邑南町を対象とした予備的調査を行い,モデル確立のための仮説を構築した.一方,兵庫県下を対象に,新規就農を対象とした定量的な分析も進め,就農地域と新規就農者の定着に関係性があることを明らかにした. B地域づくりリーダーの特性と地域力醸成要件の解明については,大分県を中心としながらも山形県川西町などの事例調査を行い,特にアクターとしての市役所の役割に注目した分析を進めた.また,兵庫県播磨地域での実験的プロジェクトの戦略的実施を通して,外部人材をネットワークに取り込むことにより拡張的に地域の力を高めることの有効性を確認した.一方,地域課題となっている畦畔管理作業に注目し,そのリーダーと組織開発についての基礎的な調査と調整を行った. C農村における起業家の創出・成長要件の解明については,先進事例地として山形県鶴岡市,徳島県美波町,島根県江津市,兵庫県夢前町,北海道厚真町などの調査を実施した.これらの調査からは,起業を志向する者の人材養成的なネットワークの形成が、農山村の再生に与えるインパクトが大きく,起業者同士のサプライチェーンが内発的に生じていることが明らかになった.また,熊本県小国町では,研修会を通じた継業型の人材育成のアクションリサーチの準備を整えた.一方,国際比較として,スタンフォード大学d.schoolの調査を行うとともに,中国北京市郊外の農家民宿(農家楽)の連鎖的発展が可能とするエコシステムの存在を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主調査地とした兵庫県丹波篠山市の人材育成システムにおけるアクター分析と評価は順調に進んでいる.また,国内外の先進事例の調査も多く実施しており,その実態が把握されつつある.エコシステムに関する文献調査および理論整理については,若干の遅れがあるが問題はない. 地域づくりリーダーの特性と地域力醸成要件についても,事例地における調査と仮説に基づく実践を進めており,おおむね順調である.本年度は構造的な把握を優先したため,地域リーダーまたはコーディネーター個人を対象として調査は実施していないが,外部環境との関係性から,その特性を把握するための作業仮説の構築は進んでいる. 農村における起業家の創出・成長要件の解明については,計画以上に多くの事例調査を行えている.また,継業については,熊本県小国町を事例に,今後のアクションリサーチにむけての準備と仮説構築を行った. 以上,実態把握とアクションリサーチの仮説構築にむけた基礎的な調査を中心とした初年度であるが,研究は概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って研究を着実に推進する.事例分析を重ねることに加えて,前半期は,特に文献,理論整理を進める予定である.このことを通して,アクションリサーチの仮説の改善を図る.また事例分析については予備的なものから本調査に移すことを目指す. また,アクションリサーチのプロセスにおいては,計画からアクションに移す年度として位置づけ,関係機関との調整を図りながら積極的に実践をすすめる.一方,エコシステムとしての構造的把握を進めながらも,リーダーや起業者など個人を対象とした調査も進めるための準備をおこなう.
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