本研究の目的は以下の2つである。第一の目的は、Q-GAP認証農家と非認証農家との比較を通じてQ-GAP認証の生産工程管理における生産農家のコンプライアンスの実態を解明し、生産活動におけるQ-GAPの有効性を検証する。その検証は、農家インタビューに基づく社会経済調査と収集した作物サンプルの残留農薬検査を組み合わせて行う。第二の目的は、農産物の消費者や販売業者へのインタビューに基づいて、多様な市場性との関係における流通上の有効性に関してQ-GAPが市場の諸アクターからいかなる評価を受けているかを明らかにする。第一の目的については、その前年度の続きとして、予定通り、4月と5月にチェンマイ大学の共同研究者(Suratおよび調査助手)がとうがらしの栽培地域(タイ北部チェンマイ県)を訪問して、最終的に前年度分との合算でQ-GAP認証農家100世帯、非認証農家229世帯から社会経済データおよび残留農薬検査用の作物サンプルを得た。そして、その現地チームは、収集した社会経済データをデータベース(DB)化し、残留農薬分析を行って、その結果もDB化した。また、雨河は立命館大学で雇用したRAの助力を得て、DBの加工・修正を行った。さらに、2020年度に分析を進めていたキャベツに関する研究についてはその執筆を完了し、2021年6月にSustainabilityという国際ジャーナルに論文を発表した。研究目的②:「Q-GAPの流通部門における有効性の分析」については 、森高が2019年にPanamasおよび雨河の協力を得て中部タイにおいて行ったアスパラガスに関する流通業者調査の結果を分析し、研究論文にまとめて出版する予定であったが、多忙のためまだ執筆中である。またPanamasがアスパラガスについて行った消費者調査についても、その結果を分析し、研究論文にまとめて出版する予定であったが、まだ執筆中である。
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