暗渠の排水能力の診断を安価に行えるようにするため、市販の管路出口用の逆流防止弁(フラップゲート)と3軸加速度センサ(傾斜センサ)を用いた暗渠流量の簡易計測法を検討した。フラップゲートの弁体に3軸加速度センサモジュールを貼り付け、これを実験管路に接続し、出力をデータロガーで記録した。管路の流量は、電磁流量計で正確に計測した。また、弁体の開口部を真横からビデオカメラにより撮影し、画像解析ソフトにより解析することにより開口角を求め、傾斜センサの出力と比較した。 3軸加速度センサの出力では、流量が小さい場合に、異常値が多く発生し、利用可能な観測データ数が少なくなり相対誤差は大きくなった。流量との関係は、画像でも3軸加速度センサでも、0.05~0.4m3min-1の範囲で対応が見られたが、3軸加速度センサの出力は、0.10m3min-1以下の領域では小さく評価された。また、0.4m3min-1(平均流速4.5㎝s-1)を超える大流量では、弁体の開口と流量の関係不明確になった。上記の値を超えないサイズのフラップゲートを用いれば、測定の精度が十分確保できた。 新潟県上越市のモニタリングでは、近接する複数点で、吸水管直上の圧力水頭値の経時変化を比較した。その結果、1m離れているだけで、圧力水頭値には20㎝程度の違いがみられた。つまり、疎水材の透水性が悪化している場合には、吸水管の接手の位置に近いかどうかなどにより、吸水管に沿った圧力水頭値には違いがある可能性が示唆された。 仙台市若林区の圃場での観測では、暗渠流量は最大で5.4mmh-1が観測された。2か所の観測箇所では、ピーク流量に違いはなかったが、総排水量には顕著な違いがあり、土層内の水位が低下すると、2次元的な下層の土層構造の影響を受けて、排水が特定の吸水管に集中していると考えられた。
|