研究課題/領域番号 |
18H02296
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
向後 雄二 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30414452)
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研究分担者 |
堀 俊和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (20414451)
林田 洋一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (50414454)
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 複合災害 / 地震 / 豪雨 / 斜面崩壊 / 不飽和土 / 侵食 / 圧密解析 / 斜面安定対策 |
研究実績の概要 |
2018年度は,次の三項目,すなわち,①複合型盛土崩壊遠心載荷振動模型実験,②排水パイプを有する蛇篭工法の斜面降雨実験,および③ソイルセメントを用いた斜面侵食実験,を実施した。 項目①では,雨と地震による複合型盛土崩壊として,盛土内の含水比の違いによる振動特性および崩壊への影響を検討した。実験は6号珪砂(含水比3と5%の2ケース)とDLクレー(2ケース)を用いて行った。遠心加速度を30g載荷することによって,重力場換算で6mの高さの盛土を用いた。実験中は,加速度,変位,間隙水圧および間隙空気圧(一部の実験で設置)を測定した。珪砂模型では,両ケースにおいて模型全体が丸みを帯びるように変形し,天端が沈下した。天端で亀甲状のクラックが発生した。損傷および天端沈下量は含水比の高い方が大きかった。模型中央での加速度応答は,加振加速度レベルが小さいうちは盛土高さとともに増加したが,加速度レベルが増加すると入力動よりも小さくなった。含水比の大きな方がこの減少は顕著であった。間隙水圧は,今回の実験が低い含水比にもかかわらず,場所によって大きな応答を示したが,間隙空気圧の応答はそれに比べてかなり小さなレベルで推移した。DLクレー模型についても同様な性状を示した。 項目②については,法先に蛇篭と排水パイプを組み合わせて設置する工法を検討した。模型斜面に対してパイプの径と長さを変えて降雨実験を実施した。その結果,斜面表層の半分程度の深さまでパイプを挿入することによって,斜面の安定性は飛躍的に増大することがわかった。 項目③では,ソイルセメントで表面を被覆した斜面モデルを用いて侵食実験を行い,そのメカニズムを検討した。その結果,セメントを混合していない斜面表層では,侵食は急速に進行したが,セメントを混合した場合は、わずかな剥離が生じた。ソイルセメントが降雨と表面流により生じる力に抵抗することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遠心載荷振動実験装置の故障もあったが,ほぼ目標通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度以降は,研究項目①複合型盛土崩壊遠心載荷振動模型実験,②排水パイプを有する蛇篭工法の斜面降雨実験,および③ソイルセメントを用いた斜面侵食実験の続きの実験,および④模型実験のシミュレーション,⑤室内要素試験,さらに⑥各種安定工法と⑦総合検討による安全性検討手法の構築,を行う。 項目④については,解析システム構築のために,このシミュレーションを行い,システムの改善を行う。項目⑤は弾塑性解析向上のために,繰り返し三軸圧縮試験を行って,塑性ひずみの定量化を向上させること,およびソイルセメントの水理学的特性を明らかにするために水分特性および透水試験を実施する。項目⑥では,排水パイプを有する蛇篭およびソイルセメントの工法をまとめる。項目⑦では,上記①から⑥の研究項目を総合的に検討して,安全性検討手法を構築する。これらの成果をとりまとめ公表する。
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