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2018 年度 実績報告書

コンバインの穀粒タンクに堆積する籾のかさ密度によるコメの登熟歩合計測法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18H02306
研究機関九州大学

研究代表者

平井 康丸  九州大学, 農学研究院, 准教授 (10432949)

研究分担者 稲垣 紫緒  九州大学, 理学研究院, 准教授 (20452261)
田中 史彦  九州大学, 農学研究院, 教授 (30284912)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードコンバイン / 穀粒タンク / 登熟歩合 / コメ / かさ密度 / 収量 / ヘルムホルツ共鳴 / 体積
研究実績の概要

本研究の目的は「コンバインの穀粒タンクに堆積する籾層のかさ密度によりコメの登熟歩合を計測する方法を開発する」ことである.本目的の達成には,かさ密度の高精度な計測が要求される.そこで,(課題I)穀粒タンクに堆積する籾の質量計測の高精度化(現行機から50%向上)に関する実験,また,堆積籾層のかさ密度は,登熟歩合の指標である粒子密度だけでなく,堆積籾層の空隙率の影響を受けることから,(課題II)穀粒タンクに堆積した籾層の空隙率の影響因子を明らかにし,空隙率との関係を定量化する2課題に取り組んだ.
(課題I)については,穀粒タンクに11パターンの形状で籾層を堆積させ,3D形状およびタンク底面の支持荷重を計測した.支持荷重の分担比が,堆積籾層の重心のx座標(コンバインの進行方向)に依存して線形的に変化すること,その他の支持点(脱穀部フックと回動支点)の支持荷重の影響を受けることが明らかになった.これらのデータは,次年度に籾質量の検量式を検討する際の基礎データとなる.
(課題Ⅱ)については,200 L程度の四角柱容器を用いて,底面圧力と空隙率の関係を実験的に明らかにした.籾の含水率が一定の場合,空隙率は底面圧力が増加してもほぼ一定であった.一方,籾の水分の増加とともに空隙率が減少することが確認された.当初,容器底面の圧力は堆積籾層の空隙率と線形関係にあると予想していた.容器底面の圧力はJanssenの式により推定可能であることから,同式により堆積籾層の空隙率を推定することができると考えていた.しかし,本結果により空隙率の推定は困難であることから,みかけ体積の計測ではなく,真体積の計測法を開発することが必要であることが示された.次年度の研究課題として,ヘルムホルツ共鳴を用いた真体積の計測法を検討することとした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在までの進捗状況は若干遅れていると考えている.
本研究の課題は大きくは2課題であるが,穀粒タンクに堆積した籾の質量計測の高精度化
(現行機から50%向上)については,2018年度に詳細なデータ収集が完了した.したがって,同データを用いて2019年度中に課題Iは完了する見込みである.
かさ密度を計測するための堆積籾層の体積計測法の開発については,当初,複数の超音波センサ等で堆積籾の表面形状を決定することを提案していた.しかし,堆積籾層の空隙率を推定することが困難であるため,堆積籾層の充填程度を評価することができないことが分かった.したがって,真体積の計測方法の開発に新たに取り組む必要がある.ヘルムホルツ共鳴を利用した方法を検討する予定である.

今後の研究の推進方策

「穀粒タンクに堆積した籾の質量計測の高精度化」の課題については,2019年度の早期に,種々の目的変数を組み合わせた検量式の精度評価を行い,目標とする現行の精度を50%向上する検量式の提案を目指す.
「穀粒タンクに堆積した籾層の真体積の計測法」の課題については,まずは,文献調査,専門家との情報交換を通して,ヘルムホルツ共鳴を用いた計測法の可能性について検討する.同手法の適用に問題が無ければ,室内実験により基礎データを収集して,実機における計測システム構築に向けた検討を行う.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Relationships between Bulk Density and Particle Density of Rough Rice Piled in a Vertical Cylinder2018

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi YOSHIZAKI, Yasumaru HIRAI, Eiji INOUE, Takashi OKAYASU, Muneshi MITSUOKA
    • 雑誌名

      Journal of the Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineering

      巻: 80 ページ: 280-288

    • 査読あり
  • [学会発表] Relationships between Mass and Porosity of Rough Rice Piled in a Combine Grain Tank2018

    • 著者名/発表者名
      Ryuichi Yoshizaki, Yasumaru Hirai, Muneshi Mitsuoka, Shio Inagaki, Eiji Inoue, Takashi OKAYASU
    • 学会等名
      Proceedings of the 9th International Symposium on Machinery and Mechatronics for Agriculture and Biosystems Engineering (ISMAB)
    • 国際学会
  • [学会発表] 籾の堆積状態がグレンタンクの支持荷重および籾質量の推定精度に及ぼす影響2018

    • 著者名/発表者名
      平井 康丸, 古川 大二郎, 吉嵜 隆一, 樫野 雅和, 上加 郁朗, 光岡 宗司, 井上 英二, 岡安 崇史
    • 学会等名
      農業環境工学関連学会2018年合同学会
  • [学会発表] グレンタンクに堆積した籾の空隙率と底面圧力の関係2018

    • 著者名/発表者名
      吉嵜 隆一, 平井 康丸, 上加 郁朗, 古川 大二郎, 樫野 雅和, 光岡 宗司, 稲垣 紫緒, 井上 英二, 岡安 崇史
    • 学会等名
      農業環境工学関連学会2018年合同学会
  • [学会発表] 籾の堆積状態を考慮したグレンタンクの支持荷重推定モデルの検討2018

    • 著者名/発表者名
      樫野 雅和, 平井 康丸, 古川 大二郎, 吉嵜 隆一, 岡安 崇史, 光岡 宗司, 井上 英二
    • 学会等名
      第72回農業食料工学会九州支部例会

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公開日: 2021-01-27  

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