研究課題
本研究の目的は「コンバインの穀粒タンクに堆積する籾層のかさ密度によりコメの登熟歩合を計測する方法を開発する」ことである.本目的の達成には,かさ密度の高精度な計測が要求される.そこで,(課題I)穀粒タンクに堆積する籾について,質量計測の高精度化(現行機から50%向上)と(課題II)体積計測法の開発の2課題に取り組んだ.課題Iについては,昨年度に現行機から50%の精度向上する計測法を提案し,成果を農業食料工学会誌に公表した(平井ら,2020).課題IIについては,昨年度に引き続きヘルムホルツ共鳴を用いた真体積の計測法を検討した.当初,登熟歩合の指標として計測対象としていた「かさ密度」は堆積した籾層の空隙率に依存する問題があり,また,収穫時の穀粒タンクの空隙率が不明であるため,「粒子密度」に計測のターゲットを変更し,真体積の計測法の開発を行った(この変更は,申請課題の課題IIIの問題も同時に解決するものである).昨年度に容量700 mL程度のヘルムホルツ共鳴器を作成し,異なる粒子(ガラスビーズ,ガラスフリッター,籾)について,異なる空隙率(充填程度)で体積計測を行った.この実験において,空隙率により空気振動の減衰が生じ,真体積の推定精度を低下させることが示された.そこで,粒子層間の空隙による空気振動の減衰を考慮した,真体積推定式を導出した.本推定式は真体積の推定精度の向上に寄与することが示された.一方,真体積の関数として表現した減衰の影響を表現する一次式が現状では実験式に留まっているので,さらに多様な空隙率の条件で実験を行い,提案式に一般性を持たせる必要がある.最終的には,グレンタンクを模した大型の容器により,提案する真体積推定法の検証を行う必要がある.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Faculty of Agriculture, Kyushu University
巻: 66(1) ページ: 91-95
10.5109/4363556
農業食料工学会誌
巻: 82(4) ページ: 362-369