研究課題/領域番号 |
18H02308
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
栗本 育三郎 木更津工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (00195562)
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研究分担者 |
渡邊 孝一 木更津工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (20549315)
浅野 洋介 木更津工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (70390416)
伊藤 裕一 木更津工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60396900)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水蒸気飽差制御 / 細霧発生 / VPD / 安定化 / 多点リアルタイムIoT環境センシングシステム / むだ時間 / シミュレータプラットホーム |
研究実績の概要 |
申請者らは、細霧によって水蒸気飽差を制御するシステムの研究開発と実証を行なってきた。しかし、外乱や無駄時間の影響で水蒸気飽差が時系列振動する問題があり、安定化させる報告例はない。本研究では、多点リアルタイムIoT(Internet of Things)環境センシングに基づく植物工場シミュレータプラットフォームを開発し、環境のモデル化を行い、モデルベース水蒸気飽差制御手法の確立を目指す。 研究実績として、太陽光型植物工場において日射シールドを実現する強制通風筒にVisara HMP155温湿度センサを装着した多点リアルタイムIoT環境センシングシステムを開発し、太陽光植物工場の平面9点に設置し、Webブラウザーにてリアルタイム観察を実現できた。また、施設外と群落並びに通路のH2O/CO2濃度をLi-cor Li-850を用いた任意地点リアルタイムIoT環境センシングシステムを開発し、ブラウザー上で観察できるようにした。熱流体シミュレーションソフトウェアにより、太陽光型植物工場の細霧発生シミュレータプラットフォームを開発して、空間のシミュレーションができる環境を整えた。実際の植物工場のモデルを構築し伝達関数を求め,水蒸気飽差安定化制御の基本実験を実現した。実施に当たっては,申請者らが考案した「ハイパスフィルタ適用型通信外乱オブザーバ」CDOB-HPF(Communication Disturbance Observer with High-Pass Filter)を水蒸気飽差制御シミュレータに入れ安全性を検証後、実システムへ試行導入を行い、実稼働並びにシステムかへの問題点を探った。合わせて、葉や果実などの健康状態を計測するために、糖度計を整備し、また、既に開発しているクロロフィル蛍光ハンディLIFシステムや時間相関イメージセンサを用いたトマト果実熟度評価試行実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している理由として、以下の点の進捗状況があったことがあげられる。 (1)太陽光型植物工場において日射シールドを実現する強制通風筒にVisara HMP155温湿度センサを装着した多点リアルタイムIoT環境センシングシステムを開発し、太陽光植物工場の平面9点に設置し、Webブラウザーにてリアルタイム観察を実現できた。また、施設外と群落並びに通路のH2O/CO2濃度をLi-cor Li-850を用いた任意地点リアルタイムIoT環境センシングシステムを開発し、ブラウザー上で観察できるようにした。 (2)熱流体シミュレーションソフトウェアにより、太陽光型植物工場の細霧発生シミュレータプラットフォームを開発して、空間のシミュレーションができる環境を整えた。実際の植物工場のモデルを構築し伝達関数を求め,水蒸気飽差安定化制御の基本実験を実現した。 (3)申請者らが考案した「ハイパスフィルタ適用型通信外乱オブザーバ」CDOB-HPF(Communication Disturbance Observer with High-Pass Filter)を水蒸気飽差制御シミュレータに入れ安全性を検証後、実システムへ試行導入を行い、実稼働並びにシステムかへの問題点を探った。 (4)葉や果実などの健康状態を計測するために、糖度計を整備し、また、既に開発しているクロロフィル蛍光ハンディLIFシステムや時間相関イメージセンサを用いたトマト果実熟度評価試行実験を実施した。 以上の成果を国内外の学会へ発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、モデルベース制御アルゴリズムの構築と実証を行う。具体的には、日射変化や気象変化や窓開閉などの外乱,並びに植物工場固有のむだ時間の影響に水蒸気飽差制御を自動追従できるようにするため,前年度構築したシミュレータを用いて,実際の植物工場のモデルを構築し伝達関数を求め,水蒸気飽差安定化制御を実現する.実施に当たっては,申請者らが考案した「ハイパスフィルタ適用型通信外乱オブザーバ」CDOB-HPF(Communication Disturbance Observer with High-Pass Filter)を水蒸気飽差制御に適用する.本システムをソフトウェア検証用水蒸気飽差制御装置に入れ動作検証後,実際の太陽光型植物工場の水蒸気飽差制御システム(協力施設千葉大学柏の葉5号棟(現有設備))に導入する。さらに、前年度構築した多点リアルタイムIoT環境センシングシステムを用いて計測を実施し、植物工場シミュレータを用いて、環境のモデル化を行い、水蒸気飽差制御提案手法の改善を行い有用性を検証する。以上の成果を学会で発表して、論文として投稿する。さらに、栽培者やNPO植物工場研究会会長とディスカッションして、植物生育に関して任意ストレス付与可能な水蒸気飽差制御を実現し、植物工場における収量や品質調整への検証実験を展開する予定である。
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