研究課題/領域番号 |
18H02309
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
蔦 瑞樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (80425553)
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研究分担者 |
亀谷 宏美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主任研究員 (20585955)
関山 恭代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (60342804)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近赤外分光法 / 蛍光指紋 / ESRスピントラップ法 / NMRメタボロミクス / 相関ネットワーク解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、抗酸化関与成分に基づく機能性表示の基盤技術として青果物の全数検査を目指し、①青果物を電子スピン共鳴(ESR)スピントラップ法、核磁気共鳴(NMR)メタボロミクス、近赤外分光法及び蛍光指紋という複数の手法で分析し、②データ統合及びネットワーク相関解析によって各種活性酸素種の消去を担う関与成分を明らかにする。さらに、③関与成分特有の吸光・蛍光波長を探索し、その含有量を非破壊かつ高精度推定する手法を開発する。 今年度は、昨年度に続いてイチゴについてESRスピントラップ法によるラジカル消去活性、NMRスペクトル、近赤外スペクトルおよび蛍光指紋のデータを蓄積した。また、活性酸素種の消去を担う関与成分の探索の効率化を目指し、溶媒の極性を変えつつ複数の画分を取得するComprehensive Extractionによって処理したサンプルの分析の検討を開始した。 イチゴについては、得られたデータに相関ネットワーク解析を適用し、各種ラジカルの消去活性と相関するNMRスペクトルの化学シフト領域と可視分光スペクトルの波長領域を明らかにした。具体的には、一重項酸素の消去活性はNMRスペクトルの化学シフト6.5, 7.0, 7.5 ppm付近のシグナル強度や、可視-近赤外スペクトルの波長550, 650 nm付近における吸光度と相関があることが分かった。後者の波長帯は色素成分による光吸収に関連すると考えられるため、一重項酸素の消去活性に色素が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相関ネットワーク解析を行うという所期の目的は達成したが、緊急事態宣言などにおける職員や実験補助員の出勤制限に伴い、データ蓄積に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き複数の品目についてラジカル消去活性、NMRスペクトル、近赤外スペクトルおよび蛍光指紋のデータ蓄積を図る。また、得られたデータに対して相関ネットワーク解析(correlation network analysis: CNA)を適用し、抗酸化能を担う成分及びその成分含量の推定に有効な波長条件の探索を試みる。CNAや抗酸化能推定モデルの構築に際しては、非線形の関係も考慮できる手法の導入を検討する。
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