研究課題/領域番号 |
18H02311
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 教授 (70322138)
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研究分担者 |
鈴木 智大 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
森 智夫 静岡大学, 農学部, 助教 (80536516)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 水素発酵 / 白色腐朽菌 / 木材腐朽 / エネルギー獲得戦略 |
研究実績の概要 |
白色腐朽菌Trametes versicolor K-41株による好気的水素産生経路を解明すべく、以下の検討を行った。 (1) 組換え大腸菌による水素産生 K-41株由来ヒドロゲナーゼ(TvHYD)cDNAを取得後、本遺伝子を組換えた大腸菌を作出し、微好気条件下における水素産生活性を測定した。その結果、組換え大腸菌の水素産生量が大幅に向上したことから、TvHYDの水素産生への関与が示された。また、酸素濃度0%あるいは10%条件下でrHYD活性試験を行った結果、両条件で同等の水素産生活性が認められたことから、K-41株の好気的水素産生が酸素耐性HYDに由来した特性である可能性が示唆された。 (2) 電子供与体の検討 推定水素産生経路について調査するため、前駆体となりうるシュウ酸あるいはギ酸を木粉培地に添加した結果、水素産生量が向上したことから、K-41株は、シュウ酸代謝系と共役して電子伝達を行い、水素を産生している可能性が示唆された。また、K-41株からギ酸デヒドロゲナーゼ(FDH)遺伝子高発現株(F株)を作出し、F株のスギ木粉からの水素産生能を調査したところ、最も高い水素産生活性を示したF23株は野生株と比較して、FDH遺伝子転写量、FDH活性が共に向上していた事から、FDH活性の向上により細胞内ギ酸の分解が活性化し、HYDへの電子伝達が速やかになり水素産生能の強化に繋がったと考察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
K-41株の好気的水素産生経路の鍵酵素であるHYD及びFDHの関与が認められたため、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はHYD及びFDHに加え、シュウ酸デカルボキシラーゼ(OXDC)の関与についても検討すべく、OXDC遺伝子高発現株を作出し、本作出株が実際に水素酸性能が改善されるかどうか調査する。さらにK-41株におけるゲノム編集技術を確立し、好気的水素産生経路に関与する酵素遺伝子をノックアウトすることで、水素産生能が大幅に低下するかどうか調査する。
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