篤農家3軒の家屋そばに設置したし尿分離型トイレの利用を開始した。そのうち2軒は利用を一時中断していたが、その後利用を再開していた。再開の理由ははっきりしないが、研究者の継続的な訪問により、このトイレを使用する意欲が回復した可能性がある。 継続的にトイレを利用していた1軒で産出された大便由来の有機肥料を用いて圃場試験を継続して実施したところ、化学肥料施用区と遜色ないトウモロコシの生産性が確保できることが複数年にわたって確認できた。 さらに、尿を使った施肥試験を土壌の粒径組成の異なる2ヶ所の農家圃場において実施した。尿施用区の生育は、粘土質な圃場では、化学肥料なみの生育を示したのに対し、砂質な圃場では、化学肥料に見劣りする結果となった。尿に含まれる可溶性の養分が砂質な圃場では、速やかに下方へ流出したためと考えられる。土壌の性質によって、肥効が異なることが明らかとなり、土壌ごとに施用方法を調整することの重要性を示唆した。 また、大便由来の有機肥料に含まれる大腸菌群の生育数を計数したところ、有機肥料として利用して問題ないレベルにまで下がっていることが確認できた。
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