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2018 年度 実績報告書

熱帯畑作地における有機物の「質・量」統合的生態系管理による劣化土壌修復技術の創出

研究課題

研究課題/領域番号 18H02315
研究機関愛知大学

研究代表者

小崎 隆  愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00144345)

研究分担者 村瀬 潤  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30285241)
杉原 創  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任准教授 (30594238)
沢田 こずえ  東京農工大学, その他の研究科, 研究員 (60795285)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード劣化土壌の修復 / サブサハラ・アフリカ / 生態系の持続的管理 / 微生物多様性 / 炭素利用効率
研究実績の概要

今年度は、課題1「土地利用が土壌微生物群集の多様性および群集内・間の炭素利用効率に与える影響の解明」に取り組むために、まず全員による研究会を実施し、研究予算の減額に伴う研究方針の明確化・精緻化のための意見交換を行った。次に、タンザニアにおいて当該地域の代表的土壌であるUltisolsを対象とした土壌調査を実施した。具体的には、近接した乾燥林・草地・畑作地においてそれぞれ土壌断面試料および表層土壌試料を採取した。得られた試料について、土壌の一般理化学性(全炭素・窒素、土壌pH、CEC、土性など)分析、アンプリコン解析を用いた土壌微生物の群集構造の解析およびシャノン指数を用いた多様性評価を実施するとともに、炭素基質の添加実験に基づく土壌微生物の炭素利用効率を計測した。これらの結果、当該地域の土壌微生物群集構造に影響を与える土壌環境因子として、土壌pHと全炭素・窒素および炭素/窒素比があることが明らかになった。加えて、土壌微生物の群集構造と多様性を畑作地と乾燥林で比較した結果、群集構造に大きな違いは見られなかった一方で、多様性には有意な差があることが明らかになった。さらに土壌微生物の炭素利用効率をこの2地点で比較した結果、差はわずかではあるものの、有意に畑作地<森林となった。以上のことから、仮説『農地化に伴う微生物多様性の低下は炭素利用効率を低下させる』を検証するために必要な土壌微生物の多様性と炭素利用効率との明確な関係性を示すことができた。これらに加えて、タンザニアとの地域間比較のために、インド南部の熱帯畑作地(Inceptisols)において土地利用が土壌炭素動態に与える影響を検討するための土壌調査を実施した。
以上のような最新成果を国内外の学会で速報的に発信し、また、本課題の重要性について、新規出版図書で言及すると同時に、国際誌に原著論文として掲載すべく作業を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述したとおり、当初の計画通り、現地調査を無事に遂行することができ、計画していたサンプルの採取および分析も順調に進んでいる。加えて、現在までに得られた結果も仮説を支持するものとなっていることから、(2)おおむね順調に進展している、といえる。

今後の研究の推進方策

課題1の達成のために、引き続き昨年度に採取した土壌試料を用いて新規分析を行う。具体的には、安定同位体を用いたより精度の高い土壌微生物の炭素利用効率の測定と、SIP法を用いた土壌微生物の群集内における炭素資源利用特性の評価である。これらの遂行により、仮説『農地化に伴う微生物多様性の低下は炭素利用効率を低下させる』を実証する。
次に、課題2「多様な有機物の施用が有機物分解速度に与える影響の解明」の遂行のため、現地調査を実施し、翌年度以降に圃場試験を開始するための予備調査ならびに圃場の設置準備を実施する。
加えて、得られた研究成果を国内外の学会で発信するとともに、国際誌に原著論文とし公表する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 8件、 招待講演 6件) 図書 (2件)

  • [国際共同研究] Sokoine University of Agriculture(タンザニア)

    • 国名
      タンザニア
    • 外国機関名
      Sokoine University of Agriculture
  • [国際共同研究] Tamil Nadu Agricultural University(インド)

    • 国名
      インド
    • 外国機関名
      Tamil Nadu Agricultural University
  • [学会発表] Towards Further Collaboration between Ukrainian Society of Soil Scientists and Agrochemists and International Union of Soil Sciences (IUSS).2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaki, T.
    • 学会等名
      The 11th Congress of Soil Scientists and Agrochemists of Ukraine, Kharkiv, Ukraine
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Need for enhancing collaboration between national/regional societies and IUSS to advance International Decade of Soils (IDS).2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaki, T.
    • 学会等名
      The 3rd Eurasian Soil Congress on “Environment and Soil Resources Conservation”, Almaty, Kazakhstan
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Soil education to advance sustainable life and soil health.2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaki, T.
    • 学会等名
      Korean Society of Soil Science and Fertilizer Conference for Celebrating the 50th Anniversary, Kyonju, Korea
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Combat against soil degradation to advance Sustainable Development Goals (SDGs) in International Decade of Soils (IDS).2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaki, T.
    • 学会等名
      The 30th Post Graduate Institute of Agriculture Annual Congress, Kandy, Sri Lanka
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Towards wise use of natural resources to enhance Sustainable Development Goals (SDGs) in International Decade of Soils (IDS) Initiative of IUSS2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaki, T.
    • 学会等名
      The 22nd Dokuchaev Conference for Young Scientists "Soil is the System of Functional Connections in Nature", St. Petersburg, Russia
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Sustainable Management of Cultural Landscapes and Soil Science Perspectives2018

    • 著者名/発表者名
      Kosaki, T.
    • 学会等名
      Workshop “Soils, Landscape and Culture”, S. Agata Militello, Italy
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 南インドの畑作地におけるバイオ炭の施用が 土壌の炭素動態および作物生育へ与える影響の解明2018

    • 著者名/発表者名
      関真由子・杉原創・宮嵜英寿・Jegadeesan M・田中治夫
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会
  • [学会発表] Ecology of protists in a rice rhizosphere2018

    • 著者名/発表者名
      Murase, J.
    • 学会等名
      International Workshop of Mollisols Ecology
    • 国際学会
  • [学会発表] Microbial food chain driven by methane in a rice field soil2018

    • 著者名/発表者名
      Murase, J.
    • 学会等名
      The 8th East Asian Federation of Ecological Societies
    • 国際学会
  • [図書] 土壌生化学2019

    • 著者名/発表者名
      八島未和,犬伏和之,坂本一憲,沢田こずえ,谷昌幸,小川直人,井藤和人,境雅夫,西澤智康,遠藤銀朗,齋藤勝晴,國頭恭,唐澤敏彦,妹尾啓史,程為国
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4254435733
  • [図書] Soil and Sustainable Development Goals2018

    • 著者名/発表者名
      Lal, R., Horn, R. and Kosaki, T.
    • 総ページ数
      196
    • 出版者
      Catena-Schweizerbart, Stuttgart
    • ISBN
      978-3-510-65425-3

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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