研究課題
最終年度にあたった2021年度は、COVID19の影響で計画していた内容を遂行できなかったため、実施可能な研究を進めると共に、研究期間を1年延長し、2022年度も継続することで、以下の研究実績をあげた。課題1:土地利用が土壌微生物群集の多様性・機能および群集内・間の炭素利用効率に与える影響の解明、については、熱帯酸性土壌であるタンザニアと、熱帯アルカリ性土壌であるインドを対象に、森・畑・草地等の土地利用を異にした地点間で比較を行った結果、土地利用により土壌微生物群集は明確に異なる一方、微生物群集が持つ機能である炭素利用効率については、熱帯酸性土壌と熱帯アルカリ性土壌とで異なる影響・機序がみられた。具体的には、熱帯酸性土壌では森で糸状菌が卓越することで高い炭素利用効率を持つ一方で、熱帯アルカリ性土壌では、土地利用にかかわらず炭素利用効率が悪い微生物群集が押しなべて存在していることが判った。COVID-19の影響を受け、現地圃場試験の遂行を必要とする課題2の遂行は現実的に不可能であった。そこで研究計画を微修正し、課題1の結果から示唆された、炭素隔離、という観点から見た際の熱帯アルカリ性土壌の微生物群集が有する炭素循環機能が低いという結果の普遍性を検証するために、国内で類似環境を有する沖縄県内の土壌を用いて土壌pHと土地利用が土壌微生物群集構造を介して土壌微生物機能(炭素利用効率や代謝回転)に与える影響を解明した。この結果、土壌pHや土地利用は土壌中の養分状態や化学性を変化させることで土壌微生物群集を明確に変化させていた一方、土壌中の炭素・リン利用性が低いアルカリ性では森と畑の微生物群集の類似性は高く、その結果、土壌微生物機能にもアルカリ性でのみ土地利用の影響がないことを発見した。今後、得られた成果を投稿論文等で公表していく。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 6件、 招待講演 6件)
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