研究課題
前2年間で東南アジアの代表的反芻家畜であるタイ在来牛と沼沢水牛へメタン低減素材・カシュー殻液を含有する飼料製剤を給与し、その機能評価を実施した。その結果、ルーメンおよび糞便からのメタン削減に対する高いインパクトが期待できることがわかった。最終年度においては、日本国内においてウシ排泄糞便からのメタン低減を目標として、初年度に実施したギンナン果肉の直接添加の影響について、微生物相の変遷を主眼に検討した。すなわち、北海道大学のホルスタイン種泌乳牛の糞便へ、ギンナン果肉を添加・放置し、発酵産物(測定済み)と微生物相への影響を評価した。糞便のメタン生成量は放置30日以降180日まで全期間においてギンナン果肉添加時に減少した。ギンナン果肉の添加によって全期間を通して酢酸モル比が低下し、プロピオン酸モル比は上昇した。これらの変化は糞便菌叢の変化と連動していた。すなわち、メタン古細菌 (特にMethanocorpusculum)に加えRuminococcaceaeやClostridiaceae の減少が生じ、一方でBacteroidaceae や Porphyloromonadaceae の増加が観察された。減少した菌群はメタンやメタンの基質となる水素生成に関与するものが含まれ、増加した菌群にはプロピオン酸生成に関連するものが含まれる。以上の結果は、糞便へのギンナン果肉の直接添加が微生物相を変え、メタン低減を導きうることを示唆するが、その効果は比較的長期間期待できるもの、と思われた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Animal Science Journal
巻: 92 ページ: e13503
10.1111/asj.13503
巻: 92 ページ: e13569
10.1111/asj.13569
巻: 92 ページ: e13598
10.1111/asj.13598
巻: 92 ページ: e13620
10.1111/asj.13620
巻: 92 ページ: e13614
10.1111/asj.13614
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