研究課題
ルーメン絨毛組織内では、哺乳期から育成期に移行中にルーメン微生物に生じる短鎖脂肪酸(VFA)とリポ多糖(LPS)に暴露されるために、恒常性の維持のために調節機構が存在する可能性がある。我々の以前の報告では、哺乳期から離乳期の仔牛へのルーメン上皮組織内においてサイトカインとケモカインが変動することを明らかにした。しかしながら、ルーメン絨毛組織内の恒常性維持における炎症性サイトカインとケモカインの役割については明らかにされていない。本実験では、離乳前(5週齢)および離乳後(15週齢)の黒毛和種仔牛における炎症性サイトカインとケモカインの遺伝子発現量を調査した。さらに、単球の走化性因子とマクロファージへの分化を誘導するCD68の遺伝子発現量を解析した。また、サイトカインとケモカインの局在は免疫組織化学によって解析した。ルーメン絨毛組織におけるCCL5(ケモカインリガンド5)遺伝子の発現量は、離乳前と比較して離乳後に有意に高値を示した(P <0.01)。CCL5はルーメン上皮組織において基底層および有棘層に局在していた。ルーメン絨毛組織におけるCD68遺伝子発現は、離乳前より離乳後に有意に高かった(P <0.05)。以上の結果により、離乳後に上昇するCCL5は単球の遊走およびマクロファージへの分化を誘導することが考えられ、ルーメン絨毛組織内の恒常性維持にCCL5-単球/マクロファージ軸は重要な役割を果たしている可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
予定とおり、試験が進めている。
1年度の結果を基に、2年目の実験を進める予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of Animal Science
巻: 96 ページ: 2226-2237
10.1093/jas/skx016
巻: 96(7) ページ: 2646-2658
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