研究課題
2020年度は、卵母細胞特異的に発現するZp3遺伝子とは別に、生殖細胞や卵母細胞で特異的に発現するStella遺伝子のイントロン内に内在性のエピジェネティック修飾因子に対するamiRNAを10個あるいは6個タンデムに連結して卵母細胞におけるノックダウン効果を検証した。1)H3K4の脱メチル化酵素をコードするKdm1aおよびKdm1b、並びに脱メチル酵素のモチーフを持つ機能未知の3遺伝子に対してそれぞれ2種のamiRNAをデザインしStella遺伝子イントロン1内に挿入した。また、amiRNAの発現を可視化するためにStella遺伝子のエクソン2にインフレームでmCherry遺伝子を挿入した。2)上記のコンストラクトが導入されたマウスES細胞では、mRNAレベルで5遺伝子の顕著な発現抑制が認められた。amiRNAが特異的に標的遺伝子をノックダウンしていることも確認できた。また、H3K4me1、H3K4me2およびH3K4me3に対する免疫染色を行った結果、mCherry陽性のES細胞では、mCherry陰性のES細胞よりもH3K4のメチル化抗体で高いレベルのシグナルが検出された。特にH3K4me3抗体ではシグナルの上昇が顕著であった。3)上記のコンストラクトが導入されたマウス卵母細胞では、多くがmCherryを高発現しており、これらの発現によって卵母細胞の成長には影響が生じないことが明らかとなった。4)得られた卵母細胞でH3K4me3に対する免疫染色を行った。その結果、5遺伝子に対するamiRNAを導入した場合、機能未知の3遺伝子に対するamiRNAのみを導入した場合、いずれの場合も野生型マウスの卵母細胞と比較して、H3K4me3のシグナルが高くなり、脱メチル化酵素の機能が喪失されたことが示された。卵母細胞におけるH3K4脱メチル化酵素群の機能解析の基盤が構築できた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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