研究実績の概要 |
ゲノムインプリンティングは、胎盤を有する哺乳類において片アレル性の遺伝子発現を制御し、その破綻は発生・成育異常を引き起こす。これまでインプリンティングは配偶子由来のDNA メチル化で制御されると考えられていたが、一部の父性発現インプリント遺伝子は、配偶子の DNAメチル化非依存的に、卵子由来のヒストン修飾H3K27me3により制御されることを見出した。このヒストン型インプリンティングは、着床後胚において、将来胚体組織に分化する細胞では失われていたが、将来胎盤を含む胚体外組織に分化する細胞でのみ維持されていた。ヒストン型インプリンティング遺伝子として、Gab1, Jade1/Phf17, Platr20, Sfmbt2, Smoc1, Slc38a4, Xistの7個をこれまでに同定している。次に解明すべき疑問は、これらの遺伝子が胚体外組織において片アレル性発現制御される生理的意義は何か、という点である。この疑問に答えるために、H3K27me3修飾酵素のEedを卵子特異的にノックアウトしたヒストン型インプリンティングの破綻マウスモデルを作成したところ、この胚において、着床直後の発生遅延、出生前部分致死、および、胎盤過形成が認められた。現在、これらの表現型に寄与するヒストン型インプリンティング遺伝子の同定と、その機能解析を行なっている。
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