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2018 年度 実績報告書

カニクイザルを用いた子宮内膜症標的ペプチド治療薬の最適化

研究課題

研究課題/領域番号 18H02362
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

中村 紳一朗  滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 准教授 (50307980)

研究分担者 福田 道子  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 招聘研究員 (80741066)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード子宮内膜症 / カニクイザル / ペプチド療法
研究実績の概要

2頭の子宮内膜症を発症するカニクイザルに、子宮内膜上皮細胞に特異的に結合する9-merペプチドと細胞殺傷能力を持つペプチドの組合せによって得られた[KLAKLAK]2-Z13と[HLAHLAH]2-Z13を腹腔内視鏡操作により腹腔内投与した。うち1頭には0.5mg/mlヒアルロニダーゼの前投与を行い、細胞内へのペプチド流入向上の効果をねらった。
投与後、約1ヶ月ごと(報告時までに計4回)に腹腔内観察し、肉眼的に異所性子宮内膜組織の移植が疑われる黄~茶褐色病変の増減、同組織の一部(5mm程度)のバイオプシーを行った。
肉眼的にはヒアルロニダーゼの有無に関わらず、実験時期の経過とともに褐色病変の数は減少していた。しかしヒアルロニダーゼ投与個体では、経過とともにペプチド投与部位へのアクセスが難しくなり、施術部位での組織癒着の亢進が疑われた。組織学的には、ペプチドだけを投与した個体は、実験経過とは関係なく子宮内膜上皮細胞が著しく少数であったが、CD10免疫染色で上皮下に付随する子宮内膜間質組織は減少していた。ヒアルロニダーゼとペプチドの両者を投与した個体は、少数の子宮内膜上皮細胞を観察したが、同部位でTUNEL法やssDNA抗体による免疫染色によって積極的に細胞死の介在を疑う所見は得られなかった。一方でCD10免疫染色で上皮下に付随する子宮内膜間質組織は減少していた。
肉眼的あるいは組織学的に腹腔内に散発している異所性子宮内膜組織の減少は確認できているが、上皮細胞への影響のエビデンスが不明確なため、メカニズムの解明が必要となる。またヒアルロニダーゼによる組織融解が起因と思われる副作用があったため最適な濃度のさらなる検討が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度であるため、実験に用いる動物の調達、事務手続きに関わる時間に費やしたため、当初予定の頭数を行うことができなかった。ただし候補となるペプチドの投与は予定通り行われ、その効果も認められた。実験周囲環境も順調に整い、2年目からは円滑な実験遂行が可能である。

今後の研究の推進方策

実験を行った数は予定より少ないので、追加実験を行う。ヒアルロニダーゼによる組織融解が起因と思われる副作用があったため最適な濃度のさらなる検討を行う。上皮細胞への影響のエビデンスが不明確なため、メカニズムの解明が必要である。今後に実験を行う個体は、ペプチド投与前にバイオプシーを行い、上皮細胞はどの程度採取できるのか、プレデータを得てから、ペプチド投与、上皮細胞増減の変化を検討する。
使用中のペプチドは腹腔内へ直接投与しており、投与に伴う個体への負荷が生じる。現在、血管を介して特異的に結合するペプチドを探索中なので、変化が確認しやすく、かつ簡便な方法に変更していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] サル類の子宮内膜症、動物実験モデルとしての可能性2019

    • 著者名/発表者名
      中村紳一朗、岩谷千鶴、土屋英明
    • 雑誌名

      オベリスク

      巻: 24 (1) ページ: 15-19

  • [学会発表] CD10免疫染色によるカニクイザル子宮内膜と卵管組織の鑑別、子宮内膜症診断への応用2018

    • 著者名/発表者名
      中村紳一朗、仲山美沙子、林香里、土屋英明、岩谷千鶴、野々口耕介、村上節、小笠原一誠、森崇英
    • 学会等名
      第40回日本エンドメトリオーシス学会学術講演会

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公開日: 2019-12-27  

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